夜間病棟 ランス・オリアリ―警部&サラ・キート婦長 |
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作家 | ミニオン・G・エバハート |
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出版日 | 2017年07月 |
平均点 | 5.50点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 5点 | nukkam | |
(2018/02/15 08:53登録) (ネタバレなしです) 米国の女性作家ミニオン・G・エバハート(1899-1996)はメアリー・ロバーツ・ラインハートと共にHIBK(「もしも知ってさえいれば」)派のサスペンス小説の巨匠として名高く、作品数も60作近くあります。1929年発表の本書がデビュー作で、7作書かれたサラ・キート(本書ではセント・アン病院の看護婦長)シリーズ第1作です。本格派推理小説としての謎解きも意識している作品で、盗まれたラジウム、エーテルのかおり、注射器、カフスボタンなど様々な小道具を謎づくりに使っています。しかし論創社版の巻末解説で評価されているようにプロットがぎこちなくて読みづらいです。サスペンス小説としての怖さや不気味さといった雰囲気よりも読みにくさの方が上回ってしまった感があります。謎解き説明も回りくどくてわかりにくいです。 |
No.1 | 6点 | 人並由真 | |
(2017/10/17 15:06登録) (ネタバレなし) 20世紀の前半。セント・アン病院の看護師(作中の本文では「看護婦」表記)婦長を務める「私」こと、オールドミスのサラ・キートは、病棟の南棟18号室で入院患者のジャクソン氏が殺害されている事実を認めた。被害者はモルヒネを過剰に注入されて殺され、しかもその周囲からは治療用の貴重なラジウムが紛失していた。キートは、地元の警察署長の信認も厚い青年刑事ランス・オリアリーの捜査を見守るが、次第に彼女自身もさらに事件に深く関わっていく。 エバハートの処女作で1929年の長編。のちにシリーズ探偵となるランス・オリアリーとサラ・キート、コンビもののデビュー編でもある(日本でははるか昔に、稀覯本が多く収録された六興キャンドルミステリの一冊として、シリーズ第四作の『暗い階段』が邦訳されているが筆者は未読。本も持ってない)。 それで本書の内容に関しては、その周辺に連続して怪事件が起こる「18号室の謎」でちょっと館もの風というかゴシックロマン風というかの薬味を効かせながら、やがて連続殺人となるフーダニットの興味に物語が突き進んでいく。 仕上がりとしては全体に丁寧で手堅い作りだが、一方でずいぶん地味な筋運びであり、ラジウムの隠し場所もそこしかないでしょう、という感じ(というか当時はガイガーカウンターとか無かったのだろうか。当方は物理学に弱いので、その辺はよく知らないのだけど)。 あとヒロインと男性主人公(オリアリー)とのロマンスもちょっとだけ期待したが、少なくともこの作品ではムニャムニャ。まあのちのシリーズでどうなってるかは知らないけれど。 個人的には同じ作者なら、先に同じ論創で出た『嵐の館』の方が、ミステリ的にもストーリー的にもキャラクター的にも面白かった。 まあ悪い作品ではなくて、現実に入院経験のある筆者には個人的に興味深いところも多かったのですが。 |