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ミステリの祭典

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第二の銃声
ロジャー・シェリンガム

作家 アントニイ・バークリー
出版日1994年12月
平均点7.36点
書評数25人

No.5 7点 mini
(2010/10/05 10:23登録)
バーディン「悪魔に食われろ青尾蠅」、クリスピン「愛は血を流して横たわる」、バークリー「第二の銃声」の3冊が創元文庫で文庫化されるらしい

昔々であるが、「殺意」などのアイルズ名義を除いて、まだ「毒チョコ」と「試行錯誤」位しか読めなかった頃、日本でのバークリーの評価はパッとしなかったらしい
「毒チョコ」は名作ではあるんだけど、名探偵のはずのシェリンガムが推理合戦の順番が最後じゃないというのが理解されなかったんだろうね、
昔はね、本格というものを堅苦しく解釈していた形式主義で保守的な読者が多かったんだろう

この作が翻訳されたことで、普通の本格としての形式論を当て嵌めるのが適切ではない作家だという認識がやっと定着したのである
当サイトでもkanamoriさんも御指摘の通り、バークリーという作家が見直された契機となった作品であるし、某女流大家の某超有名作の弱点だった、語り手が手記を書く必然性を改善している点なども御指摘の通りだと思う
その後他の作も続々と訳されて全貌が明らかになってきたのである
その中でバークリーの特徴が直接的に出ている作としては「最上階の殺人」や「ジャンピング・ジェニイ」の方がより鮮明だと私は思う
しかし特徴が出ているかどうかではなく、出来映えで言うと作者の代表作の一つかもしれない
実は肝となるトリックの一つで叙述じゃない方のトリックは見破ってしまった
その部分の描写の箇所で、おっ、やってるやってる、と丸分かりだったが、おそらくその時点で見抜いた読者はかなり多いはずで、こんなのが見抜けないようでは初心者だろう
しかしそのトリックだけが肝でもないから、見破れ易い点は作品としての瑕疵に入れないで置いとこ

野球の投球に例えると、変化球が続いた後、次は直球だろうと予想した打者が狙い通りだと思ったら、裏の裏でチェンジアップだったみたいな感じか

No.4 7点 kanamori
(2010/08/08 18:55登録)
国書刊行会の世界探偵小説全集で出て評判を呼び、一気にバークリー未訳本の翻訳ラッシュに火をつけた作品。
パーティの余興中の殺人で容疑者になった友人からの依頼で迷探偵シェリンガムが乗り出すというストーリー。
なんといっても友人のピンカートンの特異な造形が面白く、真相が分かってから再読すると、彼のいろいろな言動が皮肉なユーモアで真相を内包していたことが分かります。メインの仕掛けも、その手段をとる理由が某有名作品と比べて必然性がある点は評価できると思います。

No.3 8点 itokin
(2009/07/10 12:48登録)
前半の劇設定に無理があると思うが、これが、1930年に書かれた作品かとびっくりさせられる。当時としてはかなり実験的な書き方だったと思われるが、話の展開、終盤のまとめなど、その後の作家の教科書になったのは間違いない。

No.2 10点 こう
(2008/09/14 23:19登録)
 個人的にバークリーの作品で最も気に入っている作品です。某有名作品に触発されて書かれた作品ですがフェアプレイに満ちた成功例だと思います。またあの有名な序文を読むためにも一読をお薦めします。

No.1 8点 ElderMizuho
(2008/01/27 01:29登録)
反則、二番煎じとも言われそうですが、本書独自の味付けも随所にあり、個人的には全く問題ないと思います。
むしろネタをそのまま出した某作品よりも事件自体にも工夫が凝らされているのが好印象。ネタがわかってても楽しんで読めるはずです。
二転三転の展開にはやや無理があるのが残念ですが娯楽性は充分で一気に読まされました。
もちろん結末も意外性充分で満足

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