home

ミステリの祭典

login
アレン警部登場
ロデリック・アレンシリーズ

作家 ナイオ・マーシュ
出版日2005年04月
平均点4.50点
書評数2人

No.2 5点 人並由真
(2019/03/23 05:07登録)
(ネタバレなし)
 大昔に「別冊宝石」で『病院殺人事件』を読んで(これは面白かった記憶がある。意外な? 伏線と犯人の鮮烈なキャラクターはまだ覚えている)以来、評者にとっては本当に久々のマーシュの長編であった。

 元外交官の金持ちの屋敷である日、余興の殺人ゲームが開かれるが、その最中に女癖の悪い中年紳士が本当に刺殺されてしまう。
 きわめて真っ当なフーダニットパズラーで、その中にヌカミソサービス的にソ連の秘密結社の捕り物騒ぎとかが織り込まれるし、主人公とお転婆系ヒロインのラブコメっぽい恋模様は描かれるし、さらに探偵役のアレン主任警部もなんか読者をくすぐるキャラクターだし……で、パーツとしては面白くなりそうな感じなのである。
 それが存外に退屈なのは、会話ばっかりで読みやすい文体のハズが、演出を考えずに場面場面の描写だけ並べていった下手な戯曲みたいな小説だからか。
 ただまあ、肝心の(××)トリックはそれなりにうまく仕掛けられているとは思う。少なくとも、似たような趣向のクリスティーの某長編の見え見えぶりよりはマシではないかと。あと殺人実行の瞬間のビジュアルイメージは、結構楽しいかもしれない(笑)。

 例によって、マーシュも翻訳書を買うだけは買ってあるから、おいおい読んでいこう。

No.1 4点 nukkam
(2013/10/28 01:00登録)
(ネタバレなしです) ニュージーランドのナイオ・マーシュ(1895-1982)はクリスティー、セイヤーズ、アリンガムと共に本格派黄金時代の女性作家ビッグ4と評される存在です。30冊以上書いた長編ミステリーが全てロデリック・アレンシリーズで非シリーズ作品なしというのが珍しいです(短編には非シリーズ作品もあります)。本書は1934年に発表したデビュー作です。シンプル過ぎるぐらいのプロットに子供だまし的なトリック、物語としての深みも求めようもなく、気軽の読めることぐらいしか取柄のない本格派推理小説です。熱心なシリーズファン読者以外には勧めにくいです。

2レコード表示中です 書評