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ミステリの祭典

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探偵ファミリーズ

作家 天祢涼
出版日2017年08月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 人並由真
(2017/10/13 15:04登録)
(ネタバレなし)
 この作者、またまた新しいシリーズ探偵を創造してしまったけれど、連作短編集としてはサクサク読めます。
 ただしメルカトルさんのご指摘通り、タイトルはあまりあってないね。「レンタル家族」のほうが良かったんじゃない?(ついでに言えば、ジャケットカバーに描かれた主人公のリオのビジュアルイメージも微妙に違うような~ポイントは吊り目でしょ?)。
 個人的にはトリックや謎解きの伏線・ロジックはおおむね及第点(少し甘いかもしれんが)で、同時にこの設定の枠組みのなかで各話の事件のバラエティ感を出そうとしている、作者の意欲も感じられる。
 まぁ犯罪要素(パズラー興味)がそれなりに盛り込まれた日常の謎系としては水準作~佳作ではないかと。
 キャラクターたちも悪くはないし、もし続刊が刊行されれば読みます。

No.1 5点 メルカトル
(2017/09/12 22:28登録)
帯に「このシェアハウスに集まる『家族』は全員、探偵。」とあるように、シェアハウスに入居する老若男女は全員探偵で、事件が起こる度に推理を戦わせる・・・わけではありません。つまり看板に大いに偽りありですよ。勿論これは出版社の陰謀で作者が悪いわけではないでしょうけどね。
チロリアンハウスというシェアハウスの大家という名前の大家さんが探偵役で、第一話から第四話までを彼が担当し、第五話は主人公で語り手のリオが務めます。一話ごとに増える他の住人達は最終話で漸くダミーの推理を披露するだけで、特に何かの役に立っていません。
それまでほのぼのとした雰囲気で進行していた連作短編が、第五話に至り突然死体が現れ驚きますが、これは巧妙に仕組まれた企みです。そして最終話である人物の秘密が明かされ、やや意表を突かれますが、まあこれも連作短編集にはよくある仕掛けです。
登場人物の描き分けはしっかりと出来ていますし、それぞれの事件はそれなりにバラエティに富んでいますので、評価としてはまずまずですが、トリックにいま一つ妙味がないのが残念です。特に先に述べたダミーの推理は思い付き程度であまり感心しません。

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