パパはビリー・ズ・キックを捕まえられない |
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作家 | ジャン・ヴォートラン |
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出版日 | 1995年07月 |
平均点 | 6.50点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 5点 | メルカトル | |
(2023/12/12 22:50登録) パリ効外の団地で、結婚式をあげたばかりの花嫁が射殺される。純白のウエディングトレスの胸を真っ赤に染めた花嫁が握りしめていたのは一枚の紙切れ。そこにはこう書かれてあった。「ネエちゃん、おまえの命はもらったぜ」。シャポー刑事はその下に記された署名を見て愕然とする。ビリー・ズ・キック。それは彼が娘のために作った「おはなし」の主人公ではないか。続けてまた一人、女性が殺される。そして死体のそばにはビリー・ズ・キックの文字が…。スーパー刑事を夢見るシャポー、売春をするその妻、覗き魔の少女、精神分裂病の元教師。息のつまるような団地生活を呪う住人たちは、動機なき連続殺人に興奮するが、やがて事件は驚くべき展開を見せはじめ、衝撃的な結末へ向かって突き進んでゆく。 『BOOK』データベースより。 うーん、面白いとも詰まらないとも言えない、微妙なところ。読み終えた時点で3点にしようかと思いました。次から次へと現れる登場人物、数人を除いて没個性で誰が誰だか分からない、まるで脚本の様な淡々として抑揚のない文章、衝撃の展開でも結末でもないストーリー、フランス式のロマンノワール。全てが自分には合わないと感じました。 しかし、訳者あとがきを読んで少し考え直しました。悔しいけれど言いたい事は良く分かる、そう思えば確かにそんな気もするというね。 原文は何だか起こった事象のみを描写している様にしか思えませんが、翻訳は悪くないです。それにプラスして誰も彼もがイカレている、頭のねじが緩んでいる感じで、ロマンと言うよりダメな大人達の色んなタイプを描いており、ちょっと変わった意味での脱力系とでも形容させる点が、まあ評価出来るかなと。 |
No.1 | 8点 | はっすー | |
(2017/08/19 23:43登録) パリ効外の団地で、結婚式をあげたばかりの花嫁が射殺される。純白のウエディングトレスの胸を真っ赤に染めた花嫁が握りしめていたのは一枚の紙切れ。そこにはこう書かれてあった。「ネエちゃん、おまえの命はもらったぜ」。シャポー刑事はその下に記された署名を見て愕然とする。ビリー・ズ・キック。それは彼が娘のために作った「おはなし」の主人公ではないか。続けてまた一人、女性が殺される。そして死体のそばにはビリー・ズ・キックの文字が…。スーパー刑事を夢見るシャポー、売春をするその妻、覗き魔の少女、精神分裂病の元教師。息のつまるような団地生活を呪う住人たちは、動機なき連続殺人に興奮するが、やがて事件は驚くべき展開を見せはじめ、衝撃的な結末へ向かって突き進んでゆく。 この話の中には特定の主人公はいません。言ってしまえば主人公は団地の住人たちです。 また、この団地の住人たちは全員まともではありません。しかし、何故か応援したくなるような魅力が全員にあります ビリー・ザ・キックは誰か?と推理小説のように読むのではなく、住人たちにとってビリー・ザ・キックとは何なのか?というのを考えながら読むのがこの本の正しい読み方だと思います。 |