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ミステリの祭典

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臨床真実士ユイカの論理 ABX殺人事件
本多唯花シリーズ

作家 古野まほろ
出版日2017年01月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 7点 名探偵ジャパン
(2018/10/30 14:21登録)
この作家の作品は、もう何年も前に『群衆リドル』を読んで、「なんじゃこりゃぁ!」と呆れたことがあり(猿って……)、その後『天帝のなんちゃら』という分厚い本を手にとったのですが、そのあまりの読みにくさに数十ページで投げ、それ以来距離を置いていたのですが、きっかけがあって本作を読んでみました。
これは面白いし、しかも読みやすいです(『天帝なんちゃら』と同じ作者だとは信じられない)。主人公が持つ特殊能力ありきな内容ですが、それを踏まえたうえで十分ミステリとして楽しめました(この能力、主人公が関係者に片っ端から「あなたが犯人ですか?」と聞いて回ればすぐに事件解決するんじゃないですかね?)。
タイトルからも察せられるとおり、クリスティの永遠の名作『ABC殺人事件』をフォローしていながら、作者独自のスタイルを取り込み昇華させています。ラストのラストまで気が抜けない返し技の連続も現代ミステリっぽくて、幅広い読者層に受け入れられそうです。ライトノベルレーベルで出ているのがもったいない傑作だと思います。
ただ、私も主人公の、いかにもオタク好きする口調、口癖にはイラッときましたけど(笑)。

No.1 6点 メルカトル
(2017/10/08 22:14登録)
相手の発言に対してそれが客観的事実か否か、またそれを相手が正直に答えているか否かを瞬時に判別できる能力(障害)を持つ臨床真実士という肩書の探偵唯花が連続殺人事件に挑む、ミッシングリンク物。
タイトルからも分かるように、最初の被害者は名前が芦屋雄次、赤坂で殺害され、血液型がA型。次は勿論Bに由来する殺人事件が・・・。なぜこのような関連付けがされたか、唯花に対して殺害予告が一々届くからです。また現場にはA、B、O、AとBを象ったキャンドルが残されます。なぜ犯人はこのような殺人を行ったのかというのが第一の命題です。
ABCでもなく、ABOでもなく、ABXなところがミソです。解答編の前に「読者への挑戦状」が挿入されているように、一応理詰めで犯人を指摘することはおろか、ミッシングリンクを推理することも可能となっています。あくまでフェアに情報は読者の前に提示されますので、頭を振り絞れば解が得られるとは思います。が、これが結構難題ですので、読まれる方は覚悟して臨んでいただきたいと思います。
まあそれなりの面白さ楽しさは維持していますが、探偵役のヒロインの口癖が鼻に付いたり、個人的にあまり好感がもてなかったりしたのでこの点数にしましたが、内容的には7点でもよかったように思います。

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