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ミステリの祭典

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エドウィン・ドルードの失踪

作家 ピーター・ローランド
出版日1993年12月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 弾十六
(2025/04/16 17:08登録)
1991年出版。翻訳は上々。
準備として『エドウィン・ドルード』の訳者解説を読み、標準的謎解きを把握。実によくまとまった解説だが、おっさんさまが『エドウィン・ドルード』評で書いている評論集『ディケンズの小説とその時代』を読んでビックリ。
有名な実在犯罪(ウェブスター/バークマン事件1847年)にディケンズが興味津々だったとは!
さて本書。贋作ってやっぱり本家を読みたくなっちゃう。名曲アレンジを聴くとオリジナルが聴きたくなって、やっぱりオリジナルって良いよねってなる、あの感じ。
ホームズ時代とディケンズ時代が数十年しか離れてないのがちょっと意外。良い工夫もあって素直に読めた。
まあ頑張りましたね、という評価。

No.1 6点 nukkam
(2017/08/12 16:07登録)
(ネタバレなしです) 英国のピーター・ローランド(1938年生まれ)は歴史研究書や偉人伝記の執筆などで活躍していますが、1991年発表の本書は彼としては異色作であるミステリー作品です。それもチャールズ・ディケンズの未完のミステリー「エドウィン・ドルードの謎」(1870年)をシャーロック・ホームズが謎解きするというユニークなプロットです。ホームズの依頼人が事件の概要を説明してくれるのでディケンズ作品を読んでいない読者でも早い段階で背景を理解できると思いますが所詮は概要、例えば謎の人物ダチェリーについてはその説明では紹介されていません。やはり事前にディケンズ作品を読んでおくことを勧めます。ホームズが事件に関わったのが1894年のクリスマス直前で、事件発生からかなりの年月が経過している難題ですがわずか200ページ程度で解決に持っていきます。これはコナン・ドイルの長編並みのボリュームを意識したのかもしれません。事件の真相説明だけでなくダチェリーの正体についてもちょっとしたアイデアが披露されているのにはにやりとしました。

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