home

ミステリの祭典

login
暗手

作家 馳星周
出版日2017年04月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 7点 ぷちレコード
(2023/05/16 22:11登録)
犯罪者の内面を掘り下げて描いた圧巻のスリラーである。舞台となるイタリアの描写も興味深い。
「暗手」と呼ばれるプロの犯罪者・加藤昭彦は、サッカーの八百長工作を進めていた。だが、ある女性に出会ったことが切っ掛けで、彼の計画に暗雲が立ち込め始める。人の心を捨てたはずの男が、沸き上がる恋慕の思いに苦しめられる物語だ。終盤の非情な展開が読みどころである。

No.1 7点 小原庄助
(2017/08/07 10:21登録)
サッカー賭博の裏側を描いたノワール小説。
イタリアのセリエAで活躍する日本人ゴールキーパーを女性絡みで抱き込み、八百長試合をさせようとする男たちが暗闘を繰り広げる犯罪劇。
主人公はヨーロッパの黒社会で暗手とよばれている男で、ギャングの抗争に巻き込まれ、嘘に嘘を重ねて、次々と殺人を犯す事になるのだが、作者は何と、絶望と狂気と孤独を高らかにうたいあげている。
言葉を何度も繰り返し、リズムを刻み、脚韻をふみ、詩の高みへともっていく。
読者は熱い感情に身を焦がし、サスペンスに息をのみ、血まみれの物語のドライブ感に打ち震えることになるでしょう。
本書は「不夜城」「鎮魂歌」に続く第3作「夜光虫」の続編であるが、単独でも十分に楽しめる。
高揚感に富む文体はとてつもなく魅力的。

2レコード表示中です 書評