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ミステリの祭典

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烏に単は似合わない
八咫烏シリーズ

作家 阿部智里
出版日2012年06月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 8点 虫暮部
(2021/03/17 12:50登録)
 背後を支える豊穣な物語世界の存在が滲み出ていて、まぐれ当たりの新人賞受賞でないことは明白。最初は設定や語彙に躓いたものの、ひとたび入り込むとそういう要素が寧ろ読み進むエンジンとなる。人間(じゃないけど)の多面性や矛盾を描き出す手管に感服。終盤になって後出しのネタが出て来るのは困ったが、まぁミステリではないからね。いや、この書き方、ミステリとしても楽しめました。

No.1 6点 メルカトル
(2017/04/30 22:20登録)
第十九回松本清張賞受賞作。ですが、社会派推理小説ではありません。基本はファンタジーでミステリの要素が幾分含まれている感じです。
時代はおそらく平安時代辺りだと思います。ストーリーは簡単に言うと、四人の姫が妃争いを演じるのですが、道中、陰謀あり裏切りあり丁々発止のやり取りありの、なかなか過激な女の争いです。それぞれ訳ありの事情を抱えた姫たちの中から、いったい誰が妃に選ばれるのかが、一応話の中心ですが、そんな興味を忘れるほど姫たちの裏に隠された秘密に心中を持っていかれます。
八咫烏とは三本足の大烏のことで、日本書紀に記されているとも、古代中国で瑞鳥とも言われているらしいです。この八咫烏が物語の中で重要なポイントとなっており、そこが最もファンタジーらしい部分ではあると思います。ただし、ファンタジーでありながら、それ程のスケール感を感じさせないのは、まあ物語に見合ったものなのかもしれません。
時代ファンタジーが好きな人には堪えられない逸品でしょうし、ちょっと風変わりな少女漫画ファンなどにも受けそうな気がしますね。ミステリ好きには物足りないかもしれませんし、あまり一般受けするとも思えません。
作者はまだ25歳?の才媛で、松本清張賞を受賞したのは20歳で、まだ学生だったそうです。いずれにしても今後の活躍が期待される大型新人のようです。私にはあまりピンときませんでしたが。
尚、八咫烏シリーズは累計65万部の大ヒットを記録しているそうです。あまりピンときませんが。

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