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ミステリの祭典

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愚者のスプーンは曲がる

作家 桐山徹也
出版日2017年04月
平均点4.50点
書評数2人

No.2 5点 人並由真
(2018/02/09 13:04登録)
 作品総体の狙い所はわかるし、青春ミステリ小説としては悪くはない。強面に見えて実は人の良い中間管理職のキャラなども、よく書けている。
 ただ読んでしばらくしてからの印象が薄いわ。それなりに良かった感触だけはあるんだけれど。

No.1 4点 メルカトル
(2017/04/18 22:49登録)
まずタイトルについてですが、主人公で大学一年の瞬は超能力を無効化する超能力を持っています。ですので、彼の前ではスプーンは曲がらないはず、なのに曲がったらそれは愚者(偽者)という意味です。
上記のように、本作は多彩な超能力を持った人物が多数登場しますが、無効化によりアクションシーンは全くありません。超能力を駆使した対決のないサイキックミステリなど面白いのか?結論は面白いはずがありません。
ストーリーは、命を狙われた瞬が超能力ばかりでなくその代償をも無効化する力を有していることから命拾いし、仲間となったキイチとマキが所属する「超現象調査機構」で働くことになる。ある日事務所に血まみれの男が転がり込み、プラスティックプレートを託すとともに、「アヤカには絶対近づくな」という言葉を残し絶命する。謎の女アヤカを追い、三人の調査が始まるというもの。
文体はあくまで平板でほとんど印象に残らないです。次々と現れる超能力者たちも個性はあるものの、描き方が中途半端で誰が誰だかよく分からないといった感じで感心しません。さしたる読みどころもなく、淡々とストーリーは進行し、最後の最後でややこれは、と思うようなシーンが現れますが、それもわずかで終了。結局終始盛り上がらないまま終わってしまったという印象しか残りません。
大体、「このミス」大賞の最終選考に残らなかった作品を書籍化するというのもいかがなものかと思いますよ。正直、そこまでの価値がある作品とは言えないですね。

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