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ミステリの祭典

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霧の晩餐―四重交換殺人事件
改題『殺意の雨宿り』

作家 笹沢左保
出版日1989年05月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 人並由真
(2023/05/23 22:51登録)
(ネタバレ なし)
 都内でフラワーショップを経営する29歳の女性・奈良井律子は、岩手県遠野市を一人旅の最中、雨宿りの場で、他の初対面同士の女3人と知り合う。4人それぞれが一人旅で言葉を交わし合った女性たちは、近所の名所に向かうが、そこでは何者かに殺害されかけた重傷の血まみれの男が倒れていた。衝撃のなか、動転した女たちは警察や病院への通報もせず、男を見捨てて逃げるが、その行為に引け目を感じた女たちの間には次第に妙な連帯感が生じていく。やがてそのいびつな絆は……。

 良い意味で、視聴者の目をぐいぐい引き寄せる、良く出来た2時間ドラマみたいな内容、そしてそんな感じの加速感。
 さらに後半の筋運びは、終盤の大技的なサプライズまで含めて、かなりの捻り具合、ではある。

 というわけで一気読みする程度には十分おもしろかったのだが、ここでホメきるわけにはいかない。
 リーダビリティの高さと後半~最後のどんでん返しを確保するために、この作品が対価にしたものは……その分の強引さと無理筋の発生(笑)。

 うん。蓋然性からいえば絶対にありえない! とは言い切れない筋立てなのだが、まず、これは、ねえ……。

No.1 6点 蟷螂の斧
(2017/04/15 13:33登録)
裏表紙より~「「私にも殺したい人間が…」ひとり旅で岩手県遠野を訪れた律子は、雨宿り先で偶然三人の女と知り合った。行動を共にした四人は、胸を刺された瀕死の男を発見するが、事件に巻き込まれることを恐れ、見殺しにした。共通の秘密を背負うことになった四人は、現場から逃げる車中で、それぞれに殺したい人間がいることを知る。やがて一人が、“交換殺人”を提案した…。」~
偶然に出会った4人が、偶然にも殺したい人物がいる。さらにもう一つの偶然が存在した。でもそんなの関係ねえ(古いか)。プロットは面白いし、オチはフランスミステリー的なエスプリが効いていて結構好みのタイプの小説でした。

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