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ミステリの祭典

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雷鳥九号(サスペンス・トレイン)殺人事件
十津川警部シリーズ

作家 西村京太郎
出版日1983年07月
平均点4.50点
書評数2人

No.2 4点 mediocrity
(2019/03/15 02:10登録)
鉄道ミステリばかりの短編5編
『「雷鳥九号」殺人事件』
話も終盤に差し掛かろうとする辺り、場所は法廷。弁護士と医者が以下のようなやりとりをする。
「解剖して、死亡時刻はわかりましたか?」
「死後一ヶ月も経っているので、正確にはいえませんが、ほぼ三月十二日の午前九時から十時の間です」
いやいや、特定しすぎだろ・・・
こんな無茶な設定にしたのは、死亡推定時刻をこの1時間にしないと話が成り立たないからである。
トリック自体はかなり派手。ただし危なっかしい。ネタバレになるので細かく言えないが、時速90kmだとして、タイミングが1秒ずれたら25mずれるんだから。あ、ずれないでド真ん中に落ちるのもダメだ。

『幻の特急を見た』
電車の種類さえ変えれば今でも映像化できそう。でも2時間ドラマじゃ持たないか。

『急行「だいせん」殺人事件』
これはトリックというレベルに達していない。時刻表を見れば5秒で解ける。

『殺人は食堂車で』
犯人の下調べが杜撰すぎるし、結果的に事件になったのも偶然すぎる。

『夜行列車「日本海」の謎』
読者にはまず解けないタイプのトリックというかむしろトリビア。

ストーリー展開は結構おもしろい(特に『幻の特急を見た』)のだが、ミステリとしては全体的にイマイチ。

No.1 5点
(2017/03/16 23:36登録)
中編の表題作と短編4編を収録、光文社文庫ではトラベル・ミステリー傑作集となっています。
表題作は犯人にではなく、凶器の拳銃にアリバイがあるというアイディアを使っています。最初の(犯行時刻では後の)殺人の状況から、方法の原理は予測がつきますが、おもしろい効果はあります。とはいえ、もう一つの殺人の死亡日時推定にそんな正確さはあり得ないでしょう。また犯人は、クリスティーを始めとしていくつも前例のある企みを狙っているのですが、その企みがあからさまで、しかも法律的に危険極まりないと思われるのも、有名前例作に比べると、細部への配慮に欠けていると言わざるを得ません。
他の短編では『幻の特急を見た』が、十津川警部が普通とは逆に容疑者のアリバイを証明するという発想がおもしろいと思いました。『夜行列車「日本海」の謎』は十津川警部の直子夫人に殺人容疑がかかるのが楽しめます。

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