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ミステリの祭典

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絶対正義

作家 秋吉理香子
出版日2016年11月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 5点 HORNET
(2019/07/21 15:00登録)
 絶対正義、ってそういうことか。なるほどね。
 こういうのを読むと、確かに正論かもしれないけど、それを突き詰めていくことで不寛容で生きにくくなる様相は最近の社会にもあるような気がする。〇〇ハラの問題とか、不祥事の問題とか・・・もちろん内容や程度によるけど。

 正義が全て、間違ったことは一切許さない。そんな高規範子の勧善懲悪ぶりに始めは感心し、尊敬していた女友達たちだが、その度を越えたふるまいや、私生活にまで立ち入ってくる無神経さに次第についていけなくなり、やがては強い憎しみを抱くようになる。読んでいるこちらも、正義を標榜しながらも、あまりにも一般の感覚や常識からかけ離れている範子に怒りがこみあげてきてしまう。そんな感じでページを繰るうちに、あっという間に読み終えてしまう。
 非常に読みやすい、イヤミスの典型。

 

No.1 7点 メルカトル
(2017/02/15 22:13登録)
これぞイヤミスです。キング・オブ・イヤミスですね。イライラします、凄く腹立ちます。その意味では作者の狙いは見事に的を射ていると思います。しかし、読み手によってはあまりの嫌悪感に、読後不快な思いをするかもしれません。つまりは、作者の罠に見事に嵌っているということになりますが。
女子四人が仲良く過ごす高校生活。転校生高規範子がそのグループに仲間入りするが、彼女は正義の味方であり、間違ったことは些細なことでも絶対許さない信念の持ち主であった。四人の女子は卒業後それぞれ範子に救われるが、その強すぎる正義感のせいで、逆に絶体絶命のピンチに追い込まれることになる。そして迎える終局はいったい・・・。
範子は正義の味方というより、法律の味方とかルールの味方と言ったほうが正しいのかもしれません。清濁合わせ飲むような社会的常識を持たない彼女は、会社の同僚がJリーグの勝敗で500円を賭けているのを目撃し、即110番通報しようとしたり、制限速度をわずかにオーバーする運転手を厳しく注意するなど、誰も容赦しません。
まあ、ある種のモンスターなのでしょう。何事も度が過ぎると嫌われますよ、命さえ危険にさらすことになりますよ、ということをひしひしと感じます。
今やイヤミスの女王といっても過言でない秋吉氏、相変わらずの安定感を見せてくれます。エピローグも彼女らしい、いい味出していると思いますね。

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