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ミステリの祭典

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深泥丘奇談・続々

作家 綾辻行人
出版日2016年08月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 メルカトル
(2023/12/04 22:32登録)
さまざまな怪異が日常に潜む、“もうひとつの京都”―妖しい神社の「奇面祭」、「減らない謎」の不可解、自宅に見つかる秘密の地下室、深夜のプールで迫りくる異形の影、十二年に一度の「ねこしずめ」の日…恐怖と忘却の繰り返しの果てに、何が「私」を待ち受けるのか?本格ミステリの旗手が新境地に挑んだ無類の奇想怪談連作、ここに終幕。
『BOOK』データベースより。

ホラーと言うか独特な世界観を持った、不可思議な怪談に近い連作短編集。
前二作同様、所謂信頼できない語り手であるミステリ作家の「私」が主人公で、頻繁に眩暈を起こしたり、「のような気がする」が決まり文句となっていることからも分かるように、記憶にいささかの問題を抱えた「私」。この人は綾辻の分身であるようにも思えるし、全くの別人のようにも思えます。その辺りを曖昧にする事で現実と非現実の狭間を行き交う物語に仕上げています。ですので、一般的なホラーとは一線を画している気がします。それに加えて、京都という「架空」の土地、土壌がそれらしい雰囲気を醸し出すのに一役買っています。

今回もちょっと怪しげなうぐいす色の眼帯を左目に付けた精神科医の石倉と、同じく深泥ヶ丘病院に勤め、左手首に分厚い包帯を巻いた看護師の咲谷も健在で、怪しさに拍車を掛けています。そして最後に咲谷の秘密が・・・。
印象深いのは本格推理作家としての一面を見せる『猫密室』。本格ミステリの短編を依頼された主人公が、そのプロットやトリック、犯人像等を練るシーンはこれまでにない種類のものです。そして最後の『ねこしずめ』は言ってみれば言葉遊びの趣向で驚かせてくれます。その凄まじい猫の姿は読者の想像力を逞しくさせて、まるで目の前で起こっている様な感覚を呼び覚まします。

No.1 6点 虫暮部
(2017/01/16 10:46登録)
 作者の頭がちょっと特殊な状態で、世界がこういう風に見えるようになっていて、本人はあくまで実話のつもりでコレを書いている……んだったら、にゃあ、面白い。

 「減らない謎」に出て来る“肥満に悩んでいる人よりも、飢餓で苦しんでいる人のほうが遥かに多い”というのは、言葉の定義にもよるだろうけど、実際は逆なようです。

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