home

ミステリの祭典

login
追跡
百谷泉一郎弁護士シリーズ

作家 高木彬光
出版日1962年01月
平均点6.00点
書評数1人

No.1 6点
(2016/12/30 23:59登録)
1957年に実際に札幌で市警警部が銃殺された白鳥事件をモデルにした作品で、高木作品の中でも同じ百谷泉一郎弁護士シリーズの『人蟻』と並んで社会派要素の強い作品です。
カッパ・ノベルズ版の作者あとがきに、松本清張の『日本の黒い霧』でも同事件が扱われていますが、清張とは別解釈であることが述べられています。共産党地区委員等の刑が確定したものの、冤罪事件なのかそうでないのか、今でも議論のある事件だそうですが、本作は上告審が最高裁で行われていた1962年に発表されました。清張ほどの政治性はありませんが冤罪説という点では共通していて、10年後に新たな殺人事件を起こすことによって、本作はエンタテインメント性を出しています。
百谷弁護士シリーズの中でも、謎解き要素は『人蟻』よりさらに少ないと言えるでしょうが、硬派な主張は伝わってくる作品です。

1レコード表示中です 書評