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ミステリの祭典

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モンタージュ写真
トゥッサン警部

作家 ミシェル・ルブラン
出版日1963年01月
平均点4.00点
書評数2人

No.2 4点 斎藤警部
(2023/09/18 22:04登録)
終盤近く、盲いた老人との遣り取りシークエンスはなかなか熱い。やがて雪崩れ込むまさかのアクションシーンと、それに続く意外性(何すんだ主人公!)と苦味の刺さるラストシーン、打って変わってジョークのようなエピローグ。 総じて本作は最終コーナーを回ってからが良いな。

「きみには責任はないよ。きみのお母さんだって……」  "二人は無限の意味がこもった視線を交した。"

詰めチェス作家である独身男の主人公は、酒で記憶を無くした夜に起きた変質的殺人事件の犯人が自分でないと言い切れる自信が無くなり。。。そのうち自分によく似たモンタージュ写真が公開され。。探偵役が自らを含めた容疑者の中から真犯人を見つけ出そうと苦闘するユーモア・サスペンス(トゥッサン警部はおまけ程度)。 まあ、前述の最終コーナー以降を除いては、なんともピリッとせず凡庸に淡々と進行。 その結末も、真相そのものや看破のポイントは取り立ててどうというものでもなく。。

むかし創元推理文庫の目録で合本『贋作 モンタージュ写真』のタイトルを見て、そういう題名の一つの長篇なんだと思っていました。 偽造モンタージュ写真(フェイク画像のようなもの)が暗躍するサスペンスかと・・・

No.1 4点 クリスティ再読
(2016/12/27 22:12登録)
評者の持ってる本は、後に「贋作」と合本になったものじゃなくて、単独で出たものなので、すまないが本作だけの評になる。
この人、変な意味で有名になってる「第三の皮膚」(あれそんなにつまらない作品じゃないが)に近いポジションのように感じるよ。作品数が出てるのに、何かあまりインパクトがなくて話題にならない作家、って感じかな。連続して若い女性を誘い出して殺す殺人犯の疑いをかけられた若いチェスプレイヤーが、公開された犯人モンタージュ写真で追い詰められていく...といのが大まかな話。ミソは本人が泥酔していた日に限って事件が起きているので、自分が犯人では?と本人も揺れているあたり。
まあ、さくっと読めてさくっと忘れちゃうようなタイプの話だなぁ(評者手元にあった本だが、読んでいて昔読んだ記憶が全然蘇らない...)。インパクトは薄いけど、まあ小洒落てはいて読みやすい。ちょっと似てる「猟人日記」とか比較するとあっちのがずっとこってりしてるよ。こっちはさらさらと水のようなあっさり感。
個人的に一番のポイントは表紙が評者リスペクトの杉浦康平なこと。昔の創元文庫ってモダンなセンス良さが光ってたんだよね。これはモザイクっぽいデザインでモンタージュ写真ぽさを出している。評者フランス語はわからないので何だが、原題は「portrait robot」って言うらしい(ググるとフランス語のWikipedia がひっかかるが、そういう意味だ)。どういう由来か知らないが、かっこいい。

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