群青のタンデム |
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作家 | 長岡弘樹 |
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出版日 | 2014年09月 |
平均点 | 6.50点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 6点 | E-BANKER | |
(2017/10/29 21:38登録) ~警察学校での成績が同点一位だった戸柏耕史と陶山史香。彼らは交番勤務に配されてからも手柄争いを続けていた・・・。驚愕のラストを知ったとき、物語の表と裏がひとつになる・・・。 ということで、作者得意の警察小説+連作短篇集という体裁の本作。2014年の発表。 ①「声色」=連作の冒頭部となる第一編。紹介文のとおり、耕史と史香は手柄の象徴である「点数」争いを続けていた。そんな中、っ交番に現れる闖入者と意外な真犯人・・・って、いきなりこんな“手”でくるとはねぇー。 ②「符丁」=連続ストーカー事件の犯人を追って、デパートの張り込みを連日続ける史香。史香に不審感を抱くデパート警備員に気を取られるうちに、手柄は耕史の手に・・・。 ③「伏線」=①でも登場した“闖入者”・・・元警察官で耕史の祖父。痴呆症の祖父の世話に手を焼く耕史と施設の嫌われ者の管理者。そして真相は突然に判明するが、一体なにが「伏線」だったのか? ④「同房」=物語はいきなり時代を重ねて、耕史は四十代の警察学校教師となっていた!(突然?)。その警察学校内で起こる銃弾消失事件が本編のテーマ。もうひとりの主要登場人物“薫”の行動もどこか変。 ⑤「投薬」=出世を重ねた史香は、市長の肝いりで市の特命役に就くことに。そして部下の男は何と・・・。そして発生する大きな事件! ⑥「予兆」=物語はさらに時を重ねて・・・。で、ここですげぇ急展開! 一体なんの「予兆」なのか? ⑦「残心」=いよいよ最終章。耕史と史香は何と六十代。舞台は警察ではなく、なんと託児所って、なぜ? そしてエピローグ・・・サプライズが待っている! 以上7編で構成。 企みに満ちた連作集。触れてきたように、耕史と史香というふたりの主役は、ストーリー展開とともに年を重ねていくところが斬新。(この手の作品ではあまりお目にかかったことがないように思う) それもこれも、ラストのサプライズのための伏線だったのか・・・ あまり書くとハードルを上げちゃうし、ネタバレにつながるのでこれ以上は触れない。 でもなぁー・・・何か不自然っていうか、理解不能な箇所が多いんだよねぇ。 ノドに引っ掛かるような感覚。これが作者の狙いなら嵌ってることになるのだが・・・ |
No.1 | 7点 | まさむね | |
(2017/05/05 22:56登録) 男女2名の同期警察官を描いた連作短編集です。 まず、この作者さんに関する個人的な印象の推移を述べますと、ヒット作「傍聞き」→「陽だまりの偽り」と読み、これは新たな短編の名手誕生では?という期待を抱いたものです。一方で、このミス的評価は高かった「教場」に関しては、巧いのだけれど何となく物足りない(現実味もない)という印象を受け、その後「波形の声」→「赤い刻印」→「白衣の嘘」と読むにつれ、その消極的印象が次第に深まっていき(こじつけ感が強いという印象まで加わり)、嗚呼、私の初期の期待が高すぎたのだろうか…などとちょっと悲しくなっていたところでございました。 前置きが長くなりました。で、この作品ですが、私の作者に対する評価グラフが相当に回復する結果となりました。「警察小説連作短編」という前知識だけで読んだ自分としては、プチ驚き所にも綺麗にハマり、読ませるテクニックも相まって、ほぼ一気読み状態。多くは述べませんが、なるほど、こういうタッチの警察小説、向いているかもしれません。 |