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ミステリの祭典

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深夜ふたたび

作家 志水辰夫
出版日1989年05月
平均点8.50点
書評数2人

No.2 8点 人並由真
(2020/12/28 15:06登録)
(ネタバレなし)
 1980年代の後半。その年の9月。「わたし」こと45歳の裏の世界に通じたドライバー、川久保治之は、旧知の弁護士、磯部雅人から一件の極秘の仕事を受ける。それは新型レーダーの機密データを持つ元自衛官を、京都から根室に搬送し、ソ連側に亡命させてほしいというものだった。川久保は当人の今津祐輔、それにナビゲーターかつ護衛役の神谷丈夫、看護婦の篠原匡子とともに北上するが、彼らの前に謎の敵、そして予想外の事態が立ちはだかる。

 徳間文庫版で読了。何十年ぶりかで、志水作品を読んだ。
 設定とそれっぽい題名から明白なとおり、ライアルの『深夜プラス1』へのオマージュ、またはリスペクト作品。物語の大枠を原型に倣いながら、ストーリーの見せ場や登場人物の関係性には存分に独自の要素を盛り込んである(要は換骨奪胎の手際が鮮やか)。
 従って、当然のごとく細部が面白い作品ではあるが、中盤以降の大中のツイストの方もなかなか。例によって(中略)な感覚で迎えるクロージングの余韻もよい。
 
 1970年代半ばまで「日本では本格冒険小説が育たない」と言われていた(厳密にはそんなこともないのだが、そういう見識が発生する余地はたしかにあった)が、80年代になって船戸、北方、そしてこの志水などが登場。いっきに新世代国産冒険小説ジャンルのルネッサンスに突入したのだけれど、本作は正にそんな熱気の中で書かれた一冊なのだろうな。
 まだまだ未読の志水作品は多いので、そのうちまた読んでみよう。
 本作の評価は0.25点ほどオマケ。

No.1 9点 Tetchy
(2008/01/13 15:27登録)
題名から見ても解るようにギャビン・ライアルの名作『深夜プラス1』の本歌取り作品。
したがって面白くないわけが無い!
確か記憶では主人公は元相撲取りではなかったかな?
あと男と女の微妙な関係が心に残っている。

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