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ミステリの祭典

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ウツボカズラの甘い息

作家 柚月裕子
出版日2015年05月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 HORNET
(2017/07/24 21:16登録)
 異なる時系列の二つのストーリーが交互に展開され、後半に一致をしていくというパターンだが、「どうつながるか(つまりどういう仕組みなのか)」は前半でたいだい見当がつき、実際思った通りだった。
 そもそも偶然昔の同級生に出会い、そこから化粧品セールスの看板にあっという間に上り詰める展開から胡散臭すぎる。顔も覚えていないような同級生(実際、同級生じゃなかったわけだが)の誘いに、なんの疑いももたずに乗っていくことなんてあるのか?(現実の詐欺を見ていると、いや、あるのだろう、とも思うが…)ただ少なくとも、場所を変え、乗り継いで乗り継いで成功し続けることなどないだろう。
 また、細い細い線をたどって真相に行きつく捜査が、ちょっとご都合主義すぎるかな(かといってリアルに、辿って、間違えて、また辿って…を繰り返していても小説にならないとは思うが)。

 まぁ要するに、発想がまずあり、それを限られた紙面で形にしたらこういう話になった、ということかな。読んでいて退屈はしなかったし、少なくとも楽しめたのは間違いない。

No.1 5点 パンやん
(2016/11/11 23:35登録)
緻密な描写と硬い文体の中に驚きの展開もあるにはあるが、どうにもペースが上がりにくかった本書。というか、デジャブ感満載で、目新しさが感じられずフツーの警察小説に見えてくる。真犯人に迫る過程もあまりに出来過ぎだが、可もなく不可もなくフツーに楽しめる良作。

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