home

ミステリの祭典

login
陸王

作家 池井戸潤
出版日2016年07月
平均点7.50点
書評数2人

No.2 7点 haruka
(2017/02/26 21:34登録)
ストーリーは下町ロケットに近い。人生で挫折感を味わった人々が、陸王という商品に思いを込めて、ランナーは駅伝を走っていく。企業小説やスポーツ小説というジャンルを超えて、誰にでも楽しめる作品だと思う。

No.1 8点 E-BANKER
(2016/10/08 22:04登録)
池井戸潤の最新作。
名付けて『陸王』・・・って「民王」の続編かと思ったら、全く違うお話でした。
ハードカバーで600頁弱という分量にもかかわらず、数時間で読了するという快挙!

~埼玉県行田市にある老舗足袋業者「こはぜ屋」。日々、資金繰りに頭を抱える四代目社長の宮沢紘一は、会社存続のためにある新規事業を思い立つ。これまで培った足袋製造の技術を活かして「裸足感覚」を追求したランニングシューズの開発はできないだろうか? 世界的スポーツブランドとの熾烈な競争、資金難、素材探し、開発力不足・・・。従業員二十名の地方零細企業が伝統と情熱、そして仲間の強い結びつきで一世一代の大勝負に打って出る!~

これは・・・ある意味、作者の「集大成」とも言える作品なのではないか?
読後の印象としては、『(「下町ロケット」+「ルーズヴェルト・ゲーム」)÷2』とでも表現すればよいか。
まぁ悪く言えば、二番煎じであるし、いつものとおり勧善懲悪であるし、予定調和であるし、途中は山あり谷ありだけど最後はお決まりのハッピーエンドであるし、相変わらず銀行員は悪者だし・・・ということになる。

でもなんでだろう。
それでも「読ませてしまう」熱量が確かに存在するのだ、作品の中に!
これまでも再三再四同じようなことを書いてる気もするのだが、作者の作品には「なぜ働くのか」というものを超えて、「仕事とはなにか」或いは「働くとはどういうことなのか」、更に「幸せとはなんなのか」・・・あらゆる命題が読者に突きつけられているのだ。
私にはこれを単なるエンターテイメントとは受け取れない。
作品世界に浸りながら、自分自身の現状や仕事へのスタンス、これまでの人生やこれからの生き方・・・そうした様々なもので頭の中が渦巻いてしまう。

読了後しばらくして、これって「スポ魂(スポ根?)」だなって唐突に気付いた。
登場人物たちは根性丸出し、どんな苦難にあっても諦めることなく、逞しく前へ進んでいく。最初は斜に構えてたヤツもだんだんイイ奴に変わっていく・・・

いつの間にかスゴイ作家になったもんです。
でもこれが「集大成」と感じるということは、次も同じような話を書いたら、さすがに「エッー」って思うということではないか。
そういう意味では、作者もツライかもね。
(まったくミステリー書評ではない点、ご容赦ください)

2レコード表示中です 書評