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ミステリの祭典

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蒼ざめた馬を見よ

作家 五木寛之
出版日1967年01月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 6点 蟷螂の斧
(2016/11/08 21:59登録)
(再読)直木賞受賞作品で、冷戦時代の賜物といったような感じを受けます。短篇なので若干物足りなさはありますが、筋は謀略物で今読んでも面白いですね。主人公が壁に飾ってある額をずらし、隣の部屋にいる重要人物を覗き見る場面があります。その額の絵は、ムンクの絵としか書いてありませんが、次の展開から予想すると、題名はあの有名な「叫び」ということになるでしょう。著者はムンクが好きで他の著書の表紙にも使っています。そんなことで「叫び」が表紙の「幻の女」を次の書評にしたいと思います。

No.1 7点 tider-tiger
(2016/10/03 17:54登録)
自作を国外で極秘に出版することを望むソ連の老有名作家A・ミハイロフスキーの原稿を巡ってモスクワにて奔走する新聞記者鷹野。だが、この件には大いなる政治的な陰謀が隠されていた。

作者の住まいが実家からわりあい近く(同じ駅を利用)、母が何度か姿を見かけたことがあるそうです。青春の門の連載を再開するらしいですね。記念に書評をば。青春の門は読んだことないのですが。
直木賞は納得のいかない作品が受賞することも多いのですが、本短編集は納得の一冊。
蒼ざめた馬を見よ
赤い広場の女
バルカンの星の下に
弔いのバラード
天使の墓場 の五篇を収録しています。
とりあえず表題作の蒼ざめた馬を見よ(90頁ほどの中編)だけでも読む価値あり。
ミステリファンにも大いに訴求力ある作品だと思います。スケールの大きさと細部の繊細さを兼ね備えた逸品であり、ジャンルはサスペンス、国際謀略小説あたりに収まるのでしょうが、文章もなかなかで文学的な香りが感じられます。
その他の短編、ソ連、ブルガリアを舞台にした小篇二つとこれらより少し長めの期せずしてイラストレイターとなってしまった混血少女の悲劇を描いた一篇もミステリ要素は薄いもののクオリティは高い。
最後の一篇は社会派サスペンスとでもいうべき作品でネタ的にはいささか風化してしまった感はありますが、これもなかなか面白い。
ミステリとして読めるのは二篇だけですが、充実の一冊。
それにしても、ソ連か、懐かしい響きです。

軍事にかまけて 経済が終わった
ソ連が弾けて 冷戦は終わった~
(ソ連を知らない子供たち 作詞 怠惰なトラ)

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