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ミステリの祭典

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日曜は憧れの国

作家 円居挽
出版日2016年05月
平均点3.67点
書評数3人

No.3 2点 ねここねこ男爵
(2021/11/03 00:46登録)
これはよろしくない。

あまりボロクソに言いたくはないけれど、「とりあえず登場人物たちをアニメっぽく個性過剰にしておいて、テキトーに日常の謎っぽいなにかを解くフリをする」という量産型日常の謎短編集の悪い典型例。
謎が魅力的でない上に推論の進め方がめちゃくちゃで、証拠もなしに仮定に仮定を積み重ねた挙げ句人を悪人呼ばわりするとか結構不快。
ついでに、材料関係なくカレーの作り方がめちゃくちゃで嘘でしょ?と思った。

No.2 4点 虫暮部
(2018/10/03 11:21登録)
 “青春ミステリとしての狙い”は判らなくもないが、設定もキャラクターもありがちな感じだし、それに輝きを与える文章力があるわけでもないし、致命的なのは遭遇する事件がどれもたいして面白くないこと。成長譚としても取って付けたようで残念。歴史講座の内容が(日本史に疎い私にとっては)面白かったけれど、そんなところを評価してもねぇ。 
 ところで、カレーのレシピ。野菜を煮込む前にルーを入れたら生煮えになってしまうのでは。

No.1 5点 人並由真
(2016/09/02 23:42登録)
(ネタバレなし)
 お嬢様学校に通う地味な中学二年生・暮志田千鶴は、日々の生活に退屈していた。そんな彼女は母・姫子の「女の子が何か特技ぐらいないと恥かしい」という方針で、多くのジャンルの講座を設けるカルチャースクール「四谷文化センター」に参加する。その最初の授業の料理教室で同じ班になったのは、学校は違うが同じ学年の三人の少女だった。小柄で元気な先崎桃、金銭感覚に長けた合理主義者の神原真紀、そして長身で秀才、孤高の美少女・三方公子。性格も秘めた能力もそれぞれバラバラな4人はなぜか微妙な歩幅のなかでお互いに惹かれ合っていくが、そんな彼女たちの前に不思議な出来事や思わぬ事件が…。

 中短編の連作5本をまとめた「日常の謎」もの。やや短めの最終編に至るまでの中編4本はそれぞれメインとなる少女が交代、おのおのの素性や個性にあった事件や謎に結局は4人全員で向かい合い、何らかの形で決着が描かれる流れである。
 主体となる中編4作は、少ないエピソードの絶対数に対してバラエティに富んだリドルを提示し(料理実習中の盗難事件、将棋の解法の謎、日本史の講義にからむホワイダニット、あるベテラン作家の心の謎…などなど)、そういったふり幅の広さが読み手を飽きさせない作りになっている。そんなケレン味もふくめて普通に面白い。
 ただ最後の話はミステリとしてはもしかすると一番真っ当かもしれないが、とりあえずの締めくくり編としてはちょっと変化球を放られた感じ。完結感もあまり無い。

 キャラクターがバラバラな少女たちの距離感が徐々に狭まっていく感触は心地よいし、まだまだ友情や人間関係の伸びしろはあると思うので、もし二冊目分がやがて書かれるなら、今度は互いの家に遊びに行く図とか見せてくれ。作者はカルチャースクール周辺での事件や謎という縛りを、たぶん自らに課してはいるんだろうけど。

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