天使と宇宙船 |
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作家 | フレドリック・ブラウン |
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出版日 | 1965年01月 |
平均点 | 7.50点 |
書評数 | 2人 |
No.2 | 8点 | クリスティ再読 | |
(2018/06/21 21:53登録) ヘヴィな作品/書評が続いたのでさすがの評者も疲れた。こんなときにはお気楽極楽な作品を読むに限る。というわけでフレデリック・ブラウンでもSF系の短編集である。もちろん狙いはかの傑作「ミミズ天使」。 本作作者による序があって、SFとファンタジーの違いを説明している。SFでは現実にないフィクションの部分について「もっともらしい説明を必要とする」のだが、ファンタジーは「説明を要するものは、なにもない」。本作ではどの作品も「もっともらしい説明」をしているからSFということになるのだが、その「もっともらしい説明」を最後に持ってきて、その説明に向けて作品が収斂していくのをブラウンは得意とする...だからその「説明」がきわめてミステリっぽい「解決」になる。斎藤警部さん同様に、本作きわめてミステリファン向けと評者も思う。 でまあこの短編集、改めて読んでもやはり中編でボリューム感のある「ミミズ天使」が頭一つ抜き出た傑作である。ある朝、主人公が釣りに出かけるのに餌のミミズを庭で掘って捕まえようとしていたら、そのミミズが急に後光と白い羽を生やして昇天していった...主人公はそれからさまざまなシュールで奇怪な事件に遭遇する。その原因は? まあ落語みたいなおバカな話ではある。が最上の落語を聞いた気分になれるよ。一度読んだら終生忘れられないくらいの印象を残す傑作。そういえば波津彬子によるマンガがあるんだね。絵になったのを見てみたいな。 本短編集の最後のあいさつは「Fuck yourself」である。文脈によってはこれだってナイスになることもあるんだよ。 |
No.1 | 7点 | 斎藤警部 | |
(2016/08/24 10:44登録) ミステリファンに受けの良さそなSF短篇集。 明るく優しく爽やかな、でも退屈とは無縁の佳品揃い。 悪魔と坊や/死刑宣告/気違い星プラセット/非常識/諸行無常の物語/フランス菊/ミミズ天使/大同小異/ユーディの原理/探索/不死鳥への手紙/回答/帽子の手品/唯我論者/ウァヴェリ地球を征服す/挨拶 |