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ミステリの祭典

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迫りくる自分

作家 似鳥鶏
出版日2014年02月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 虫暮部
(2020/04/07 10:06登録)
 サラッと気軽に読めるのは悪いことではないが、強引かつ御都合主義的な展開を“これはそんな緻密な話じゃないから”との言い訳で押し通した感も強い。何よりもラスト、主人公があのままやっちゃえば5割増で評価したのに。
 佐伯については微妙なところで、もっと読んでいたいキャラクターであることは確かだが、“どん底に賢人”と言うのはありがちな発想だとも思う。

No.1 6点 メルカトル
(2017/03/10 22:11登録)
タイトルからくるファンタジー感はこの作品とは無縁でした。また、ホラーでもありませんので念のため。
迫りくるのは自分ではなく、○○です。たまたま主人公の本田が自分と同じ顔の男と知り合ったばかりに、とんでもない災厄を経験することになるお話です。とにかく逃げて逃げて逃げまくる、それだけの小説ですので、ややこしい人間関係とか同じ顔の男の背後関係などは完全に端折ってあります。それだけにストレートに面白さが伝わってくるのは確かですね。
少ない登場人物の中でも、私が興味を惹かれたのは佐伯という男で、いわゆるギャップ萌えというやつでしょうか。こんな境遇なのにこんな人なの?という、いい意味での裏切りがいい感じです。
結末も味のある締めくくりで、少なくとも悲劇的ではなく、救いも余韻もあるまあハッピーエンドと言えると思います。ちょっぴり意外性というか、反転もありますし、その意味でも後味は悪くありません。
尚、あとがきも面白いですよ。これだけでも立ち読みしてみるといいんじゃないですかね。

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