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ミステリの祭典

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恐怖の金曜日
十津川警部シリーズ

作家 西村京太郎
出版日1982年01月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 人並由真
(2018/07/09 04:02登録)
(ネタバレなし)
 カドカワノベルズの旧版で読了。
 本作のキモとなるミッシングリンクの謎(どのように被害者は選定されたか)の真相が序盤から予想がついてしまうのはアレだが、連続殺人を止められない捜査陣と検察側が世間への対応に苦慮しながら真犯人を追う図、終盤のちょっとしたツイストなどは面白い。
 最後に明かされる、凶行に走った真犯人の身勝手で自己中心的ながらそれでもどっか切ない心情に関しては、マット・スカダーものの某作品を想起した。
『メグレ罠を張る』と作者・西村自身の本作以前の優秀作『華麗なる誘拐』の二作を足して、それを3~2・5の除数で割ったような出来。ひと息に読ませる作品の勢いは、確かにある。
 しかしこれフーダニットじゃないでしょう。どっちかというとホワットダニットの警察小説だね。

No.1 6点 E-BANKER
(2016/07/31 22:11登録)
1982年発表の長編。
もはや超お馴染みの“十津川警部・亀井刑事”コンビが大活躍するシリーズ作品。
最近角川文庫にて復刊されたため早速読了。

~金曜日の深夜、二週続けて若い女性の殺人事件が発生した。残された手掛かりから犯人の血液型はB型と判明。十津川警部の指揮のもと、刑事たちは地道な捜査を続けていた。そんななか、捜査本部に<9月19日 金曜日の男>とだけ便箋に書かれた封書が届き・・・当日は何もなく夜が更けたかに思えたが、翌早朝、電話が鳴り響いた。若い女性を恐怖のどん底へ落とし込んだ姿なき犯人とは?~

一種のミッシング・リンクをテーマにしたサスペンス・ミステリー。
こういう手の作品は作者の得意技でもある。
巻末解説の山前氏も書かれているが、「夜行列車殺人事件」や「殺人列車への招待」など、なぜ犯人がこういう犯罪を犯すのか分からないという命題のほか、警察宛の挑戦状がプロットの軸の一つになっている例も結構多い。
やっぱり、十津川警部を始めとする警察機構VS犯人という図式を取る以上、クローズドな環境はありえないわけで、こういう広域捜査に適したプロットが選択される。

本作では「日焼け跡の残った若い女性」がミッシング・リンクをつなぐ材料として浮かび上がってくる。
当然ながら、なぜそれがミッシング・リンクをつなぐのかが最も重要な謎・・・というわけだ。
最終的に浮かび上がる犯人像については、十津川があれだけ悩んでてそれかよ、もう少し早く気付けよ! って突っ込みを入れたくなるものではあるのだが、最後までうまくまとめているなという感想にはなった。

まぁ辛口な見方をすれば、いつもと同じじゃないかと言えなくもない。
相変わらず亀井刑事は地道な捜査を続けるし、三上刑事部長はマスコミに弱いし、若手刑事はミスをするし、十津川は煮え切らないし・・・
それでも読まされてしまうこの安定感。
やっぱりトラベルミステリーよりも、こういったタイムリミットサスペンス的なプロットが一番作者の良さが出ると思う。
(今回は少し違うけど・・・)
書籍や地上波でもう嫌というほど作品が発表されていても、尚且つ毎月のように新作や復刊がされる事実。これだけでも、作者の偉大さが分かるってことだろう。

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