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ミステリの祭典

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無実

作家 ジョン・コラピント
出版日2016年06月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 猫サーカス
(2017/06/28 19:27登録)
スキャンダラスなテーマゆえに出版が難航としたという、いわくつきの作品。近親相姦というテーマが目を引くものの、本書はあくまでも重厚な人物描写に支えられたサスペンス。小説家と、彼に罠を仕掛ける側の双方の視点から描かれ、息詰まる展開を楽しめる。

No.1 6点 人並由真
(2016/07/05 03:20登録)
(ネタバレなし)
 元弁護士ながら十代後半の女性にしか欲望を覚えないという悪癖のため、社会的な立場を失った31歳のラッセル・デゾリット(デズ)は、教師稼業時代の教え子で恋人のクロエ・ドワイトと同棲していた。デズはクロエの亡き母ホリーが、時の人のベストセラー作家であるジャスパー・ウルリクソンと一時期つきあっていた事実に着目。ある奸計を思いついた……。

 450ページ以上の大部をほぼ一気読みさせてしまう、よくできたサスペンス&クライムスリラー。主要登場人物のメンツは少ないが、それぞれの立ち位置が明確かつ役どころをうまく絡ませ合っているため、実際にはシンプルなお話をなかなかの読み応えで楽しませてしまう。
 とはいえいわゆるミステリ的なトキメキは薄く、筆力のある作家が上梓したお楽しみ本…という以上の感興もあんまし湧いてこない。そこが残念といえば残念。
(完全な善人でも悪人でもない何人かのキャラクターは、よく書けているとは思うけれど。)
 キングやクーンツの一流半クラスの長編から、もうちょっと作家の個性や、おのずと筆致ににじんでくるそれぞれの独特のクセを消したらこうなるんじゃないかしら、という感触だった。

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