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ミステリの祭典

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女學生奇譚

作家 川瀬七緒
出版日2016年06月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 虫暮部
(2016/08/18 11:10登録)
 私は、何らかの組織が人海戦術で不可解な状況を演出する、という設定には落胆してしまう。それを認めたらなんだってアリだろ。本書はなかなか面白かったが、最後の部分が物足りない、と言うのが忌憚のない感想。

No.1 6点 人並由真
(2016/06/30 03:09登録)
(ネタバレなし)
 34歳のフリーライター・八坂駿は、都市伝説ものを看板とする弱小出版社の編集長・火野正夫から次の仕事の相談を受ける。それは、読んだ人が破滅するという主旨の紙片が挟まれた一冊の古びた書籍「女學生奇譚」の呪いについて、その真偽を確かめるものだった。相棒である27歳の体育会系女性カメラマン・篠宮由香里とともに依頼を受けた八坂は、本の所有者だったが行方を断ったという青年の妹・竹里あやめに対面。あやめを含めた3人はそのまま書籍にまつわる怪異の謎に踏み込んでいくが、やがて浮かび上がるのは書物の内容に呼応した昔日の戦慄の事実だった…。

 書籍「女學生奇譚」の本文を随所に織り込みながら、現実の主人公トリオの動向を叙述。手慣れた筆致でリーダビリティは申し分ないが、物語後半に明かされる大ネタのひとつは、多分大方の読者には察しがつくだろう。
 たださすがにそれだけじゃ21世紀の新作ミステリにはならないとして、終盤にさらに複数の仕掛けを設けてあるのは一応の評価の対象。一息に楽しめる、変化球系の佳作。

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