home

ミステリの祭典

login
虚構の男

作家 L・P・デイヴィス
出版日2016年05月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 八二一
(2021/01/12 18:57登録)
ジョン・ブラックバーンみたいなことを考える変わり者がまだいたとは。あれよあれよという間にとんでもない光景に辿り着く怪作だが、実に愛らしい。

No.1 6点 kanamori
(2016/07/07 20:05登録)
住民わずか9人の閑静な小村で、毎日小説の構想を練ったり散歩したりして暮らすアラン。隣に住むリーから50年後の世界を舞台とする次回作のヒントをもらい気分も上々だったが、ときどき不可解な現象を体験したり、誰かから監視されているような感じが気になってきて--------。

国書刊行会の〈ドーキー・アーカイヴ〉という、ジャンルに拘らない”変な小説”ばかりを揃えた新叢書の第1回配本作品。読書メーターなどのミステリの感想で、「なにを書いてもネタバレになってしまいますが.....」で始まる寸評を時々見かけることがあって、「じゃあ何も書かないで!」と、ひとり密かにツッコミを入れていたりするわけですが、本書もそういう類いの小説です。
なにを書いてもネタバレになってしまいますので、本来、上のようなあらすじ紹介は余分かなと思いますし、ジャンル投票で〇〇に分類、特定してしまうと、中盤の展開の意外性を半減させてしまう恐れもあります。また「虚構の男」というタイトルも本書のキモの部分を暗示していて、勘のいい人にはネタバレになってしまいかねないので、本書の場合タイトルも表示しないほうががよかったかなと思いますw
冗談はさておき、第1章の牧歌的な雰囲気からは想像できない中盤以降のブッ飛びな展開の連続は(読者を選びそうな怪作とはいえ)個人的には楽しめました。色々なジャンルの混合型スリラーという点で、ジョン・ブラックバーンを引き合いに出しているのも分かりますし、不条理な世界に置かれた〇〇な主人公という設定でジョン・フランクリン・バーディンの某作も想起させます。翻訳にしては文章は読みやすく、(偶然か狙ったのかは分かりませんが)ある意味で今年(2016年)読まれることに意義がある作品と言えますね。

2レコード表示中です 書評