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ミステリの祭典

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ビッグデータ・コネクト

作家 藤井太洋
出版日2015年04月
平均点5.00点
書評数1人

No.1 5点
(2016/06/28 13:44登録)
SF作家だそうなので、空想科学要素を取り入れた推理小説を予想していたが、そうではなかった。システム開発の最前線はこんなものか、と元SEの作者によるリアリズムが感じられる、ちょっと変わった警察ミステリーだった。八次請けとか、2万人月とかはウソっぽいw
現代社会や法制度に踏み込んで描いてあるので、社会派物とも言える。それとも蘊蓄を語りたかっただけなのか。

かつてウィルス事件の容疑を着せられ犯罪者扱いされたハッカーの武岱が2年後、官民施設のシステム開発を担当するエンジニア、月岡の誘拐事件で警察に協力することとなる。武岱は何者なのか、どんな策謀があるのか。それとも、刑事の万田が彼と協働して謎を解くのか?
劇画的な人物が登場するわりに、中途までは平板な展開となっているのが意外である。とはいえ終盤に予想外の流れになる。もっと現代風な技を使えばいいのにとも思うが、好ましい感じもする。

じつは作者のSF作、「オービタル・クラウド」を読むのがねらいだった。手始めに本書を読破した。中盤がちょっと退屈だし、推理が雑な感もある。でも「オービタル」を含めもう少し読みたい気もする。今後に期待か。

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