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ミステリの祭典

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田嶋春にはなりたくない
田嶋春(タージ)

作家 白河三兎
出版日2016年02月
平均点5.00点
書評数2人

No.2 5点 虫暮部
(2019/09/02 11:50登録)
 小説の書き方として巧みで、田嶋春のキャラクターはいいんだけど、語り手達のありきたりな“本音と建前”には閉口した――それが、話のネタにかかわらず全5章で一貫した感想なので、これはもう作品のコンセプトが私に合っていないと言うことだろうか。

No.1 5点 人並由真
(2016/06/07 16:41登録)
(ネタバレなし)
 一流私大の法学部一年生で、将来は検事職を目指す女子・「タージ」こと田嶋春(たじま はる)。そんな彼女は呆れるほど実直な性分で、曲がったことが大嫌い。学校の内外を問わずルールを守らない人間を注意していた。場の空気も読まない性格のため、見かけは可愛いのに、学内には友達も彼氏も不在。だがそんな彼女の真っすぐさと秘められた高い知性は、裏表を使い分ける周囲の人間関係の織を少しずつほぐしていく。

 このところ『総理大臣暗殺クラブ』『ふたえ』などの傑作・秀作長編、さらに『小人の巣』といった印象的な連作短編集を続々と刊行している作者の、今年2016年の新刊。本書は『小人の巣』同様の連作短編集形式で全5本の挿話を収録。ネタバレを回避したいので詳述はしないが、順々に読むことでちょっとトリッキィな趣向も味わえる半ば長編的な趣もある。

 内容は主人公タージのなんともいえない魅力、この作者ならではの普段着の人間を見つめるきびしくて暖かい視線、が日常の場のミステリの謎と絡み合い、その辺は今回も安心して楽しめる。
 ただし印象としては各話の中身(人間関係の謎や事件の骨格)の割りに一本一本の分量が微妙に長すぎる感触もある。同じ一冊のページ数であと一本エピソードが入っていたら、各編はちょうど良いテンポになったのではないか。
 特に、野球の興味の薄い自分には、それを主題にした、一番長い第4話がちょっとしんどかった。ミステリ的な最初と最後の部分は、その紙幅を必要としてないし。

 続巻は続けることも可能みたいなクロージングだし(一応、本書なりの物語的な決着はつくが)、タージのキャラクターには惹かれるので、シリーズ化してもいいとは思うんだけれど。  

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