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ミステリの祭典

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射撃の報酬5万ドル
パラダイス市警察との接点あり

作家 ハドリー・チェイス
出版日不明
平均点7.00点
書評数2人

No.2 7点 斎藤警部
(2021/08/11 08:54登録)
何度も寄り添っては突き放し合う、意外ながら凄まじい友情の渦中で、まさかの主人公入れ替わりが?! 。。。 なんて最後の最後まで分からない愕然たる感慨に直結するハイパーテンションサスペンスと冒険の顛末は、この一冊の本から少しばかりはみ出してもいよう!! 

「きみの煙草を一本いただきたくなった。医者はわしが煙草をすうのを喜ばないのだが、わしは、無性にすいたくなることが時たまある。そのような時の一服は、気持ちを鎮めるのに、たいへん役にたつのだ」

腰抜けヘタレ野郎の俺の息子を、事情あって、9日間で一級の狙撃手に仕立て上げてくれ(下ネタではない)、というあまりにも疑惑を唆る南米大富豪からの依頼を受けた元米軍狙撃手(ベトナムでは全陸軍中銀メダルの腕前!)の主人公は、新婚の妻と一緒に射撃学校をなんとか経営している所。 チェイスは流石のストーリーテリングで、序盤はじっくりとスリリングに、中盤前から一気にフルスロットルで幾度のカーブも平然と飛ばしまくり。あっと言う間のハイ過ぎるリーダビリティで、むしろ計画的に一息いれながら読んだ方が面白いかも、なんて心配もしてしまう。

それにしてもですな、ある種の手掛かりとばかり思い込んで安心していた■■■が、まさかの大伏線だったとはな。。。。 最後の考え落ち&オープンエンディングで恐怖が沁み渡りましたよ。

空さん仰る通り、レプスキ刑事がもう少し喰い込んで来るかと思いましたが。。(最後に少し余韻を残してはくれました..) 更に贅沢を言えば、射撃学校の前の持ち主がもう少しいやらしくストーリーに絡んで来たらなあ。。なんて妄想します。

No.1 7点
(2020/10/13 23:48登録)
1970年発表ですから、チェイスとしては後期の作品で、邦訳作はこの後翌年の『切り札の男』があるだけのようです。そんなせいもあるのかもしれません、射撃学校を営むベンスンが南米の富豪の息子にライフル射撃の訓練をする前半は、チェイスとは思えないくらいじっくりした展開で、文章はともかく話はディック・フランシスあたりにも近いと思えるほどです。
それが後半に入ると、報酬が5万ドルから20万ドルにはねあがることになり、チェイスらしい、次から次へと意外なことが起こる目まぐるしい展開になってきます。特にクライマックスのどんでん返しには、驚かされましたが、これが意外でありながら、さほど不自然さを感じさせません。
ただ、最初の方で登場したパラダイス・シティ警察のレプスキ刑事が、事件にどう絡んでくるのだろうと期待していたのですが、その点だけは肩すかしでした。

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