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ミステリの祭典

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ポイズンドーター・ホーリーマザー

作家 湊かなえ
出版日2016年05月
平均点6.25点
書評数4人

No.4 6点 E-BANKER
(2020/07/27 21:16登録)
作者らしい「イヤミス」だらけの短編集。
ラスト2編のみ繋がりのある連作形式で最終編のみ今回書下ろし。
2016年発表。

①「マイディアレスト」=「姉と妹」が永遠のライバルとはよく聞くが、親に可愛がられない「姉」と可愛がられる「妹」、未婚の「姉」と結婚し子供が生まれる「妹」。最後は・・・最悪の事態に!
②「ベストフレンド」=『自分こそセンスと能力がある!』という勘違い。イタイ! これもよく聞く話だ。特に作家になろうなんていう人なら尚更なぁ。でもやっぱり最終的には男の「妬み」の方が深いということか?
③「罪深き女」=これは嫌らしいなぁ・・・。作者の「嫌らしさ」が滲み出ている。こういう『無償の愛』みたいな感情って結局は自分への愛情の裏返しというか反射心というか、まさに「罪深い」!ってことだろう。
④「優しい人」=当然普通にいう「優しい」ではない。こんなこと、よくあるんだろうなっていう男と女。女は自分の価値を高めるために男を選ぶし、自分に見合わないと思えば軽んじる・・・まぁ人生そんなもんだ。(なんだそりゃ?)
⑤「ポイズンドーター」=作中ではどちらかというと“ポイズンマザー”のストーリーがメイン。いわゆる「毒親」だ。それがどういうタイミングで「毒娘」になるのか? まぁ親が子を支配するという構図は昨今珍しくもないのだが・・・
⑥「ホーリーマザー」=⑤からの流れで別の人物の視点で事件が語られることになる。いやぁー親って何なんでしょうね、子って何なんでしょうねぇ・・・と思わずにいられない。

以上6編。
久々に作者の「毒」が満載された作品を読んだ。
設定自体はよくある、そこら辺に転がっていそうな話なのだ。でもそれが作者の手にかかると、金曜日22時からの地上波ドラマみたいなまとまりのある作品に仕上がってしまう。
この当たりはさすがに売れっ子作家だね。

でも、子を持つ親にとってはやはり気になってしまう。「親」だって昔は「子供」だったんだから、子供の気持ちも分かるはずなのになぁ・・・。目線が上がると見えない世界なのかな、子供の世界は。
一読の価値は十分あるでしょう。

No.3 6点 ミステリーオタク
(2019/09/17 22:50登録)
今後本短編集を読むかもしれない人は以下読まない方がいいと思われる。


・マイディアレスト:作者らしいイヤミス
・ベストフレンド:ミステリ的にはこれがベストかな
・罪深き女:読ませてくれるが、結末というか真相はあまり「らしく」ない
・優しい人:これも面白いが、女性主人公の人間性は入念に書き込まれているのに対し男の人格描写は飛躍気味の気がする。作者が女性だからか。
・表題作2話:もっとミステリチックな話を期待していたがシビアでシリアスな母娘の物語。しかしリアリティは乏しい。

全て女性の心理描写が中心のストーリーだから、女性読者の方が作者の真意に近づけるのではないかな。

No.2 7点 まさむね
(2019/03/03 17:47登録)
 いかにも作者らしい短編集。
 印象に残ったのは、まずはミステリーとしての風味を最も感じた「ベストフレンド」でしょうか。そして、連作となる2短編、「ポイズンドーター」と「ホーリーマザー」。この連作には、何が白で何が黒なのか、ちょっと考えさせられましたね。
 全短編とも、個人的にはそこまでは無いにせよ、多少は分らなくもない…という絶妙なポイントを突いてましたね。

No.1 6点 白い風
(2017/02/13 23:30登録)
6編の湊さんらしいイヤミスでしたね(笑)
母娘、姉妹、友人と身近にいる者だからこそ、お互いの心が見えなくなるだね。
とは言えどの話も勘違い・すれ違いが大き過ぎ!(笑)
まっ、だから事件になっちゃっているんだけどね。
個人的には「ベストフレンド」が良かったかな。
逆にラストの「ホーリーマザー」は部外者の理穂が何で弓香に逆ギレしているの??と思っちゃった。

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