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ミステリの祭典

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闇に踊れ!
私立探偵ジョン・ミラノ

作家 スタンリイ・エリン
出版日1993年04月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点
(2019/05/04 13:12登録)
引退した歴史学者カーワンがテープに録音していくビル爆破という「大事業」計画の独白の章と、私立探偵ジョン・ミラノの視点から三人称で書かれた章とをカットバックしていく手法で構成された作品です。
カーワンの黒人に対する偏見ぶりはとんでもないもので、異常なまでの差別的発言が、「医師。残酷で貪欲で抑えがたき独善の愉悦の、神の遣わした証人(あかしびと)。」といった気取った学者っぽい表現を散りばめながら繰り返されていきます。
その「大事業」計画とは無関係な事柄を調べるためにカーワンと接触したミラノについて、ミラノはイタリア系だから当然生まれついての黒人嫌いだとカーワンは思い込むのですが、実際のミラノは別事件の捜査で出会った黒人の美人クリスティーンに一目ぼれし、カーワンを調べるようになるのも彼女のためなのです。この皮肉な設定が、不気味とさえ言えそうな作品でした。

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