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ミステリの祭典

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ガラスの城

作家 松本清張
出版日1976年01月
平均点4.50点
書評数2人

No.2 4点 蟷螂の斧
(2021/03/13 09:41登録)
(ネタバレあり)



二部構成
①「三上田鶴子の手記」~的場郁子は入社して20年にもなるが、あらゆる男性社員を軽蔑している。吝嗇で貯蓄に熱心な彼女・・・~
②「的場郁子のノート」~三上田鶴子は、性質に可愛げがないうえに、服装の好みも野暮ったくて陰気な感じ・・・~
 さて、どちらに肩入れするか?(笑)短篇「草」(黒い画集第3集に所収)と同様に○○ものに挑んだようですが失敗ですね。アリバイトリックのためのバラバラ死体の謎は、まあどうでもいいようなという感じでした。

No.1 5点 kanamori
(2016/06/07 21:08登録)
伊豆半島への社員旅行の夜、三上田鶴子は、敏腕課長の杉岡が旅館近くで女子社員のだれかを抱擁している光景を目撃する。その夜から杉岡は行方不明となり、数日後バラバラ死体となって発見される。田鶴子は独自に調査を始め推理を手記にしたためていくが、別の女性社員も事件を探索していることに気付く--------。

清張の長編ミステリは、漠然と抱くイメージと違って、意外なほど女性を主人公にした作品が多い。本書や「霧の旗」「黒い樹海」など女性誌に連載された関係で読者層を意識したと思われるもの以外にも、「球形の荒野」「黒の回廊」など、かなり多くの作品で女性が探偵役や主人公となっています。
本書も、女性が素人探偵となって独自の調査を行うプロットという点では同じなのですが、2部構成のそれぞれで別々の女性が手記の語り手になっているのがユニークです。会社の派閥・出世競争や不倫というテーマ自体は、2時間ドラマのようなチープ感は否めないものの、ヒロインと呼ぶには華のないオールドミスによる社内の人間関係の”観察者”ぶりが面白いです。
また、社内温泉旅行の殺人と手記形式ということで、どうしても”中町ミステリ”を連想せざるを得ないのですがw そういった仕掛けの部分は(中町信や折原一ならもう少し巧く書いたと思いますが)清張作品としては頑張っていると思います。

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