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ミステリの祭典

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超能力者が多すぎる
ハリー・コルダーウッドシリーズ

作家 パトリック・A・ケリー
出版日1991年10月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 4点 nukkam
(2017/05/02 17:58登録)
(ネタバレなしです) 1986年発表のハリー・コルダーウッドシリーズ第3作の本格派推理小説です。かつてハリーと敵対関係だった超能力者のオズボーンが窮地に陥ってハリーに助けを求めるのですが、その前にハリーを困らせる嫌がらせをいくつも仕掛けていて人に物を頼む態度とは到底思えません。ハリー、お人よしにも程がありませんか(笑)?メインの事件は私の苦手の一つである失踪事件で、やはりというかなかなか犯罪性が見えてこない展開なのがちょっと辛かったです。しかも失踪した学生やその家族の描写もほとんどないので事件の与えたインパクトも伝わってきません。ハリーの捜査は行き当たりばったり感が強く、真相は説明しますが推理の過程を十分説明していないので本格派推理小説としての謎解きの面白さはあまり感じられませんでした。このシリーズ、全5作中第3作までが翻訳紹介されて後の2作は未訳のままになりましたが、本格派好きの私から見てもあまり残念に感じませんでした。

No.1 7点 tider-tiger
(2016/05/21 15:40登録)
大道芸で日銭を稼ぐコルダーウッドの元にかつての仇敵オズボーン(インチキ超能力者)が援助を請うてきた。有名な超能力者がとある女子大生誘拐事件に透視術を用いて捜査協力をしたところ、なんとその犯人象がオズボーンそのものであったという。このままでは逮捕されかねないと半べそをかくオズボーンのため、コルダーウッドは渋々ながらも腰を上げた。

失業奇術師コルダーウッドシリーズの三作目で原題はSleightly invisible
文章はわりといい感じ。街中で道行く人々にカードマジックを披露するコルダーウッド、そこに思いもかけない妨害が入る。その手口は同業者の仕業としか思えない鮮やかなもので……導入部もなかなか良い。序盤のオズボーンとの小競り合いや超能力と奇術の親和性と確執を絡めた展開。超能力者とその家族の確執、哀愁……正直なところまったく期待していなかったが、悪くない。もう少し書きこんで欲しいし、犯人に意外性なく、トリックも陳腐だが、面白かった。
ラストのしみじみとした雰囲気もいい。Sleightly invisibleという原題が絶妙。
日本語のタイトルもinvisibleという言葉を生かして欲しかった。
ちなみにこの作品、Invisibleなのはタイトルだけではなかった。
ネットで検索をかけても、作者のことがほとんどわからない。書評を書いている人もほとんどいない。人気が爆発しそうな作品ではないが、そうかといってここまでスルーされるほど酷い作品ではないと思うのだが……他の作品も読んでみようと思う。
※冒険、スリラーとしましたが、どのジャンルに分類すべき作品なのかよくわかりません。

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