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ミステリの祭典

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熱く冷たいアリバイ
外典コレクション(実作フレッチャー・フローラ)

作家 エラリイ・クイーン
出版日2016年01月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点
(2021/01/26 20:42登録)
原書房から出版されたクイーンの外典コレクションでは3冊目ですが、原書の出版は本作が最も早い1964年なので、まずこれを読んでみました。作者のフレッチャー・フローラは全く知らなかったのですが、調べてみるとかなりの短編が雑誌やアンソロジーに翻訳されています。
巻末解説にはリーがプロット作りにかなりアドヴァイスしたから、これほど巧妙な作品として完成したのではないかと書かれていますが、読んでみた限りではどうなのか、よくわかりません。確かに人間関係を軸にした意外性の演出に工夫を凝らしてはいますけれど、それはクイーンに限らず、フーダニット系の作家であれば誰にでも当てはまりそうです。いずれにせよ外典のペーパーバック・シリーズは、書いた本人が基本的なプロットを考えたものでしょう。
邦題が意味するエアコン利用については、死亡推定時刻を大幅に狂わせるのはちょっと無理があると思いました。

No.1 6点 nukkam
(2016/05/01 21:54登録)
(ネタバレないです) 米国のフレッチャー・フローラ(1914-1968)はエラリー・クイーン名義での代作3冊を含めても長編ミステリー作品は10作に満たず、短編ミステリーの方は130作を超しています(非ミステリーの通俗小説なども書いているようです)。ミステリー作品は犯罪小説やハードボイルドが多いようですが、1964年にエラリー・クイーン名義で発表した本書は本格派推理小説です(探偵クイーンは登場しません)。原書房版の巻末解説で「思いつきがたまたま的中しただけであって、推理とほど遠い」部分は確かにありますが謎解き伏線はそれなりに張ってありますし、弱点を補ってあまりあるのが登場人物の内面描写と人間ドラマで、少々通俗的ではあるものの味気のないパズル・ストーリーに留まってはいません。アンソニー・バウチャーやF・M・ネヴィンズが好意的に評価したのも納得です。

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