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ミステリの祭典

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殺戮者
別題「砂の中の顔」

作家 下村明
出版日1960年01月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 5点 ボナンザ
(2021/02/17 20:57登録)
一つの長編ながら三つの短編が合体しているような話。ある意味誰にも出来る殺人等の連作のはしりと言えるかも。それぞれ中々面白い。

No.1 6点 nukkam
(2017/05/28 20:29登録)
(ネタバレなしです) 下村明(1922年生まれ)は1950年代後半から1960年代前半の短い期間に活動していた作家で著書の多くは柔道小説やアクション小説のようですが、1959年発表の本書を皮切りに3作の本格派推理小説と1作のスリラー小説を書きました。構成が非常に独特で、五瓶高彦を主人公にして彼を取り巻く時代と境遇の変遷を描いた小説に3つの独立した謎解きを絡めています(そのため「長編というより3編の連作中編」と評価する向きもあります)。最初の謎解きは第二次世界大戦が終わり中国で復員を待ち続ける高彦たち兵隊の間で起こった殺人事件、2番目の謎解きは故郷である大分の天堂村へ復員した高彦の周囲で起こった殺人事件、3番目の謎解きは柔道講師(警察の技術職員)として1948年に大分の別府に着任した高彦がまた巻き込まれる殺人事件と続きます。どの謎解きでも高彦が推理していますが全部が彼の手柄で解決しているわけではなく、中には手掛かり不十分のまま場当たり的に解決してしまう事件もあって本格派推理小説としては未熟に感じるところもあります。しかし時代と社会の描写、その中での人間ドラマが謎解きの不満を補う魅力となっています。

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