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ミステリの祭典

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ブラッド・アンド・チョコレート

作家 菅原和也
出版日2016年04月
平均点7.00点
書評数2人

No.2 7点 メルカトル
(2016/08/02 22:11登録)
結論から言うと、面白かったし特にトリックに関して新味と感じられる部分があり、高得点は必至かと思う。また、青春ミステリとしても見るべきところが多く、その意味でも一読の価値はあるのではないかと思われる。
前半部分で殺人は起こるが、それまで退屈することはなく、怪しげな超能力者たちが現れ、彼らは果たして本物なのかという興味を惹かれることに。その超能力研究機関という舞台がトリックを可能にする一種の装置となり、また新興宗教に近い団体として作品そのものの雰囲気づくりに一役買っているのも計算づくであろう。
ただ、全体としてストーリー展開が何となく読めてしまうので、意外性という意味では若干物足りないというか、いわゆる予定調和的になってしまっているのがややマイナス点だろうか。

No.1 7点 人並由真
(2016/06/25 03:56登録)
(ネタバレなし)
 19歳のフリーター「ぼく」は、自称ジャーナリスト=26歳の従兄・ダイ兄ちゃんとともに、山間の施設を訪れる。そこは超能力の実在を信じて研究を進める集団「知性の窓」の拠点だった。そしてそこにいるのは、「ぼく」の幼なじみだった少女・未来。現在の彼女は「知性の窓」の中核的な立場にあった。「ぼく」はそんな彼女との再会を求めて従兄とともに現地に来たのだが、そこで待っていたのは、凄惨な殺人現場だった・・・。

 ほぼ隔離された超能力研究施設で起こる、殺人事件。作中の人物にとってはある意味で明確な事態なのだが、「ぼく」はさる事情から、さらに事件に踏み込み、関係者の前で納得のゆく真相を明らかにしなければならない…。「ぼく」が相棒の従兄・ダイ兄ちゃんとともに関係者の証言を聞き回っていくと、次々と事件の真相についての新たな仮説が浮かび上がっていく。そんな流れも含めてなかなか丁寧なパズラー、ちゃんと超能力にからむ設定も活かしてある…と思いつつ読み進めて行くと…。
 うーん、これ以上はあまり書かない方がいいね。ムニャムニャ。
 謎解きの興味に加えて、(中略)な青春小説としても印象に残ったとだけ言っておく。今のところ今年の国産ミステリの新刊の中では、個人的に上位の方。

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