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ミステリの祭典

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ケムール・ミステリー

作家 谺健二
出版日2016年03月
平均点6.50点
書評数2人

No.2 6点 名探偵ジャパン
(2017/07/25 20:51登録)
「ケムール人」をご存じない方は、ぜひとも画像検索して「ケムール人」がいかなる容貌をしているのか、頭に入れてから読み始めることをお勧めします。ビジュアルに訴えかけてくるものが違います。(作中に名前が出てくる「ピット星人」や「シャドー星人」なども、お時間に余裕のある方は検索してみてください)
メルカトルさんがおっしゃるように、本来であれば本作のカバーにケムール人を載せてくれれば一番よかったのですが、恐らく、作中に当該怪人のデザイナーと円谷プロとの確執を扱った箇所があるため、許可が下りなかったか、最初から出版社が気を利かせてオファーをしなかったのではないでしょうか。円谷は自社キャラクターの貸し出しには非常に柔軟な姿勢のため、内容に特に問題がなければあっさりと許可が下りたはずです。
内容についても、これもメルカトルさんの言葉通り、決して色ものではなく、本格テイスト溢れる佳作です。
ただ、読みにくいわけではないのですが、どうしてか読了するまでに時間がかかってしまいました。同じような事件が連続して起きるため、どうしても飽きがきたのだと思われます。

No.1 7点 メルカトル
(2016/05/08 22:15登録)
タイトルから推測するに、多くの方がイロモノ的な作品を想像されると思うが、決してそうではない。異色というか奇書と呼ぶべきなのか判然としないが、れっきとした本格ミステリであるのは間違いないのでご安心を。
六甲山中の赤屋敷と呼ばれる大邸宅のはなれで、奇妙な「自殺」事件が連続する。現場の状況はいずれも密室で、一見自殺に違いないと思われるのだが、事情を関係者から聴取した探偵役の鴉原はこの一連の自殺の事案に疑問を抱き、友人の多磨津と共に赤屋敷に乗り込む。
ケムール人とはウルトラQやウルトラマンシリーズに幾度も登場した、一度見たら忘れられない容姿をした宇宙人である。本作はこのケムール人が至る所に登場し、まさにケムール尽くしとも呼べる作品となっている。この怪人の生みの親である成田亨の残した遺産なども紹介され、その孤高の芸術家ぶりも記されている。残念ながらこの本ではケムール人の静止画などは記載されていない。個人的には著作権や肖像権が複雑な模様で難しいのかもしれないが、表紙に堂々とこの怪人を載せてほしかった。
鴉原の暴く真相は、様々な手がかりをもとに緻密な推理を重ねたというものではなく、その点でやや不満の声も聞こえるかもしれないが、物語の雰囲気を含めて私はこの作品が好きである。少々の瑕疵には目をつむりたいと思う。

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