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ミステリの祭典

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硝子の家
伝法義太郎シリーズ

作家 島久平
出版日1997年03月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 6点 斎藤警部
(2016/03/08 11:09登録)
比喩でなく、本当に全てガラスだけで建築された、敗戦日本の特殊邸宅で起こる、当主(大手硝子会社社長)の密室殺人。。。。 探偵の名は「伝法」。 これだけで魅惑せられずにはいられない’幻の長篇’は鮎川哲也のアンソロジーで陽の目を見る。 第二、第三と続く殺人劇は全面ガラスの家ならではの「逆密室」で行われた、という趣向。。。。

本作、長篇とは云えど短い。その短かさ、詰め込み急務の勢いが仇になったか、いささか消化不良のトリック、真相、終わらせ方を晒してしまっている。 とは言え真相の一部はなかなかに凄まじく、読む者の気持ちを衝いて来ること請け合い。 文章は読みやすく洗練。 そして邸宅のヴィジュアルイメージは今もって脳内に鮮烈だ。。

No.1 6点 nukkam
(2016/01/27 18:20登録)
(ネタバレなしです) 島久平(1911-1983)は1948年から伝法義太郎(私立探偵)を主役にした本格派推理小説を発表し、1960年代になると通俗サスペンス小説を書くようになりましたがどちらも大きな成功を得られなかったようで、ほとんど忘れ去られてしまいました。しかし1950年発表の長編第1作である本書を読むと、同時代の高木彬光に遜色ない実力の持ち主ではと思われます。これでもかと詰め込まれた不可能性の高い謎の数々が本格派好き読者にはたまらない魅力で、多少ご都合主義的なところもありますがトリックはアイデア豊かです。文章もこの時代の作家としては洗練されており、伝法の個性も高木の神津恭介より人間らしさを感じさせます。

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