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ミステリの祭典

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輪廻の蛇
ハインライン傑作集 2

作家 ロバート・A・ハインライン
出版日1982年09月
平均点7.00点
書評数1人

No.1 7点 斎藤警部
(2015/12/18 01:23登録)
左脳が混乱する割に右脳で理解しやすい素敵な物語6篇。内1つは中篇。 
ミステリファンに受けのいいSF本。

ジョナサン・ホーグ氏の不愉快な職業  象を売る男  輪廻の蛇  かれら  わが美しき街  歪んだ家
(ハヤカワ文庫)

ミステリと呼びたいのは「ジョナサン」「輪廻の蛇」「かれら」の3つ。
SFと呼びたいのは「ジョナサン」「輪廻の蛇」「わが美しき街」「歪んだ家」の4つ。
ファンタジィと呼びたいのは「ジョナサン」「象を売る男」「わが美しき街」の3つ。
泣けるのは「象を売る男」。笑えるのは「歪んだ家」。

通底するムードは’少し乾いたファンタジー’とでも言ったあたり。気の効いたユーモアはいつも準備万端、必要な場所に適量ごとドロップされます。

映画のイメージを引き摺ってさぞかしおぞましさ炸裂のダークファンタジーかと思われた『輪廻の蛇』が思いのほかちょっとしたタイムパラドックス小噺風だったのは快い肩透かし。原題が日本語題とずいぶんイメージの違う”All You Zombies”(フーターズ!)ってのも頷けました。とは言うもの、印象的な最後の台詞”無性にあなたが恋しいわ(I miss you dreadfully)!”に込められた孤独の遠大さに想いを馳せれば、この物語が放射し続ける存在の力にとことん圧倒されてしまうこと請け合い! そうそう、この物語は連城三紀彦の「喜劇女優」と通じるような通じないような、0と1の関係だからやっぱり違うような、でもちょっと思い出すような。

数学的SFとすっとぼけドタバタのおかしな融合『歪んだ家』は、本短篇集の中ではセンチメンタルな感動要素が際立って薄いのだが、印象深い。冒頭部に語られる四次元立体(過剰空間)のレクチャーが分かりやすくてグッドジョブ。

最後に、排卵日にハインラインを読んでも頭に入らないんですって!? (←セクハラの疑い有り)

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