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ミステリの祭典

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消えた修道士
修道女フィデルマ

作家 ピーター・トレメイン
出版日2015年11月
平均点5.50点
書評数2人

No.2 6点 小原庄助
(2017/10/10 10:10登録)
7世紀のアイルランドは、現代のわれわれから見れば異世界と言っていい。
だが、その世界を律する法は、男女の平等や民主的な手続きなど、現代的な特徴を備えていた。
アイルランド南西のモアン王国。王と、敵対する大族長とが和平を結ぼうとしていたが、何者かが両者を襲うという展開。
本作は権力者たちの謀略劇であり、裁判シーンでクライマックスを迎える法廷ミステリでもある。謎の戦士たちの襲撃に秘宝の争奪戦と、法廷ミステリらしからむ冒険活劇風の見せ場もたっぷり。
読者を異世界に誘いつつ、襲撃者の正体をめぐる謎解きを楽しめる作品。

No.1 5点 nukkam
(2015/12/12 22:27登録)
(ネタバレなしです) 1999年発表の修道女フィデルマシリーズ第7長編です。このシリーズは本格派推理小説と冒険スリラーのジャンルミックス型であることが多いのですが本書の場合は後者の要素の方が多いように思います。2人の国王の会見で起こった同時暗殺未遂事件で幕を開け、その黒幕(実行犯はその場で殺されます)探しにフィデルマが乗りだすというプロットです。ストーリーテリングの見事さは相変わらずで、手掛かりを求めての旅先で起きる様々な出来事から最後は暗殺未遂事件の起きたキャシェルに戻り、関係者のほとんどが集まった法廷でのフィデルマによる謎解きまで、創元推理文庫版で上下巻合わせて650ページを越す分量も気にならずすらすらと読めました。この法廷場面がフィデルマのほとんど独壇場となっていて法廷論争としては物足りないのが(相手方がやや小物でした)ちょっと惜しいところです。また第12章で起こった殺人事件(被害者の名前は最後までわかりません)の真相が全体の謎解きの中で蛇足的な扱いだったのも本格派の謎解きを期待していた自分にとってはやはり残念でした。

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