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ミステリの祭典

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わるい風
鬼貫警部事件簿

作家 鮎川哲也
出版日2007年12月
平均点5.33点
書評数3人

No.3 5点 青い車
(2016/11/23 18:51登録)
 鬼貫警部は好きなキャラクターですが、意外と鬼貫シリーズは彼の出番が遅く少なめな作品が多いことに最近気づきました。この本は東京創元社から出た傑作集のような幅の広さがなく、犯行を描いた後最後の方で鬼貫が登場、矛盾と証拠を突きつけて終わりというようなパターンが多いです。加えてその証拠の面白みがいまひとつなことも手伝って、印象に残りにくい短篇集になってしまっています。

No.2 5点 りゅうぐうのつかい
(2016/03/07 17:36登録)
「青いエチュード」、「わるい風」、「いたい風」、「殺意の餌」、「MF計画」は犯人視点の倒叙もので、いずれも犯人の見過ごしていた矛盾点を鬼貫警部が最後に指摘する。
「夜の訪問者」は、濡れ衣を着せられ、事故死した夫の無罪を証明してほしいとの依頼を受けた私立探偵が、事件に潜むいくつかの謎を解き明かし、鬼貫警部に真犯人を告発する話。
「まだらの犬」は、この短編集では一番の長編だが、容疑者が二転三転。本格ミステリーというよりも、刑事の捜査における苦労話、警察小説の趣きが濃い。アリバイトリックはちょっと凝り過ぎで、さほど妙味はない。
「楡の木荘の殺人」と「悪魔が笑う」はハルビンで起こったアリバイトリックに関する事件で、トリック自体は平凡。
突出した出来栄えの作品はなく、しばらくすれば忘れてしまいそうな話ばかりであった。

No.1 6点 斎藤警部
(2015/12/07 16:17登録)
青いエチュード/わるい風/夜の訪問者/いたい風/殺意の餌/MF計画/まだらの犬/楡の木荘の殺人/悪魔が笑う/付録エッセイ
(光文社文庫)

全篇鬼貫。創元推理文庫の短篇選集x2の如き破壊力はありませんが、ゆめゆめ落穂拾いとは呼ばせない光を放つ、傑作集とは行かずとも充分読ませる内容の作品集です。作品ノートや満州時代を綴った付録のエッセイもちょっとした贈り物。

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