| 中国銅鑼の謎 ルドヴィック・トラヴァースシリーズ |
|---|
| 作家 | クリストファー・ブッシュ |
|---|---|
| 出版日 | 2015年12月 |
| 平均点 | 4.50点 |
| 書評数 | 2人 |
| No.2 | 4点 | E-BANKER | |
|
(2025/12/02 15:41登録) 本作の探偵役となる「ルドヴィック・トラヴァーズ」はシリーズ探偵として60作を超える作品に登場しているとのこと(スゲエ多作!)。作者って以前「完全殺人事件」を読んだような気がしてたんだけど、もしかすると初読み(かも)。 1935年の発表。 ~限られた登場人物、空間における謎解きの面白さと同時に、嫌味で典型的な嫌われ型の被害者の老人、彼に翻弄される四人の甥、明晰だがどこか素っ頓狂な探偵、忠実だが度胸満点の探偵の相棒、使用人等々。どこか舞台劇を見るような興趣にあふれる・・・作品~ タイトルだけなら、E.クイーンの国名シリーズの一冊のようでもある。 「中国銅鑼(ゴングと表している)」は本作の殺人事件において象徴的な役割を果たす「モノ」として登場する。 ひとりの偏屈な老人と四人の甥、顧問弁護士、どこか陰のある執事などなど、黄金期の英国ミステリらしい道具立てが揃った殺人劇。 なのだが、探偵役となるトラヴァーズの思考、推理は事件の周りをぐるぐると回ることになる。 それも一回などではない。それこそ何回も何回も巡っていく。 読者としても、もうこれは何回目の堂々巡りなのか分からなくなるほど。そして、事件は登場人物の過去や人となりなどにも手を広げていく・・・ ひとことで言うなら「風呂敷の広げすぎ」である。 風呂敷なんてそんなに大きくないはずなのに、なぜかそれを大きく見せようとして、プロットがボヤけてしまっている。 魅力的な設定なんだけどなあー クリスティのような料理人なら、この素材を見事に活かすんだろうなと感じたが、如何せん・・・である。 ミステリにも「メリハリ」は大事なんだと気付かされる読書となった。 いや、違うな。ミステリだからこそ「メリハリ」が大事に違いない。 |
|||
| No.1 | 5点 | nukkam | |
|
(2016/02/05 12:24登録) (ネタバレなしです) 1935年発表のルドヴィック・トラヴァースシリーズ第13作の本格派推理小説です。被害者の周囲に容疑者たちがいたにも関わらず銅鑼が鳴った音で銃声がかき消されてどこから撃たれたかわからないという、誰がどのようにして被害者を射殺したのかというのがメインの謎です。トラヴァースの手書きによる現場見取り図が添えられていて、しかも誰がどこにいたかまで書き込まれているのが親切で大いに助かります。でも微妙に書き方が粗くてわかりにくいです(笑)。この作者らしいのですがストーリーテリングが上手くなくて損をしており、せっかく容疑が転々とするプロットを用意しても謎解きが盛り上がりを欠いています。 |
|||