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ミステリの祭典

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銀河ヒッチハイク・ガイド
銀河ヒッチハイク・ガイドシリーズ

作家 ダグラス・アダムス
出版日1982年12月
平均点6.00点
書評数2人

No.2 8点 クリスティ再読
(2018/03/22 23:09登録)
「スラプスティックSF」とか「おバカSF」とか言われがちな作品なんだけど、ハッカー・カルチャーに多大な影響を与えた記念碑的名作でもある。Google で「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え」で検索したときに「42」と答える元ネタであるし、初期のチェスマシーンが「ディープソート」だったり、nethack の一部のバリアントに「ヒッチハイクレベル」があったりと、強烈なサブカル的影響を残した作品なんだが...モンティ・パイソン風の英国ギャグの渋シュールな感覚にハマる人はハマるけど、?となるだけの人も、というところである。本サイトで言うならば、イギリスの渋いアイロニーのあるミステリが好きな人だったら、意外にいいかもと思う。評者はどっちか言うとSFが苦手な方だが、本作は例外で大好き。
まあお話よりも、独特の脱線的で饒舌な語り口が楽しみどころで、主人公らに向けて発射された2基のミサイルが「無限可能性ドライブ」によってマッコウクジラとペチュニアの鉢植えに置換されて(なぜクジラかとか尋かないこと)しまい、クジラと鉢植えが落下する際に、クジラの主観で出会う世界「しっぽ・風・大地」をその新鮮な出会いとして描写するのに対し、鉢植えは

まいったな、またか。ペチュニアの鉢植えがそんなふうに思った理由を正確に理解できたら、宇宙の本質がもっとよくわかるだろう。

と描かれる。こういう韜晦の利いた語り口が「ヒッチハイク」という小説に本質。笑えるというよりも、苦笑とかニヤニヤ笑いを誘う、奇書の部類である。
...まあこんな小説だから、評者とか「映画..きっとダメなエンタメだろ」と思いながらも、それでも原作好きだから封切で見たんだが、製作途中で亡くなったが原作者が書いた脚本に基づいており、原作の苦笑いなテイストを生かした上出来な映画でびっくりしたものだ。なんせSFのクセにイルカ・ショーから始まって、地球が破壊されることを知ったイルカが人類に警告するのに、それが全部イルカの芸だと誤解されて「さようなら、今まで魚をありがとう」と宇宙に向けて飛び立つさまを主題歌仕立てでタイトルバックにする、というトンデもなさである。原作にないエピソードを若干膨らませてあるのだが、いかにも原作にありそうな内容で違和感がないあたりが流石。原作を若干グレードアップした感もある。価値転換銃、評者も欲しいな(苦笑)
というわけで、こういう奇抜な作品にしては珍しいことに、原作も映画もどっちも素晴らしい。イングリッシュ・テイストがお好きなら一度お試しあれ。

No.1 4点 Tetchy
(2015/11/14 01:21登録)
全く前知識のない状態で手に取った第一印象は題名と文庫裏表紙の梗概から判断してドタバタSFコメディというものだった。
いきなり悪名高い“宇宙の土木業者”で開発計画の名の下、数々の惑星を破壊して回るヴォゴン人によっていきなり地球を破壊されたごく普通の、いや人よりちょっと間抜けで報われない人生を送っていたアーサー・デントが地球に潜入していたベテルギウス人のフォードによってヒッチハイクで救われ、奇妙な宇宙の旅へと連れて行かれるお話。
この内容で間違いはないのだが、非常に読者を選ぶ文体とストーリー運びだと云えよう。

本書に挟まれる過剰なおふざけとも云えるダグラス・アダムスのギャグのセンスがイギリス人には大いに受けたのかもしれない。
とにもかくにもまだ第1巻。本書でこのシリーズの評価を出すのは早計と云うべきだろう。続く2巻目以降に期待したい。

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