皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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フリップ村上さん |
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平均点: 7.73点 | 書評数: 26件 |
No.2 | 8点 | 密閉教室- 法月綸太郎 | 2002/12/17 21:08 |
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ノーカット版による読み直し。 発表当時は《新本格バッシング》の最も激しい槍玉だった本作だが、若書きすらも《作家の個性》として認識されるほどにミステリ・マーケットが成熟した今日では、冗長部分をカットする以前の状態ですらも、非常に良く書けた《小説》に思えるというこの不思議。法月ミステリらしく二転三転する推理や、文句のつけようがないほど理路整然とした密室の構成理由など、ミステリとしての完成度も水準以上で、ニ十代の新人のデビュー作としては出色の出来ではないか。84年のノベルス版と内容自体に大きな差異はないが、特筆すべきは以前の版では今ひとつ趣旨のはっきりしなかった幕切れの《コーダ》部分が、作者自身のどうしようもない内的欲求から書かれた、本作の根幹部分(グロテスクなラブレター)だったことが明かされている点だろう。 当時の本作をめぐる毀誉褒貶ぶりを知る年長の読者にも、法月なんて読んだことがないという『いーちゃん』や『ゆーやくん』好きの新来者にも、ぜひとも手にとって欲しいものである。 |
No.1 | 8点 | 法月綸太郎の功績- 法月綸太郎 | 2002/07/15 23:33 |
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名探偵はのっぺらぼう。 ロジック主導の短編ミステリとしては、おそらく現時点で望み得る最高のクオリティ。 でも、ここにはもう、ウジウジ悩んだり、グチまみれ小説を書きかけのまま発表したり、アイドル写真集を図書券で買ったりする法月綸太郎の姿はありません。 成長したと受け取るか。変節したと受け取るか。 私個人の意見を言わせてもらえれば、例え現実離れしていようと、物語の中で確かに《その人》として存在するような探偵にこそ、魅力を感じるのですが、いかがなものでしょうか? |