皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
していません。ご注意を!
しゃんテンさん |
|
---|---|
平均点: 5.77点 | 書評数: 13件 |
No.2 | 7点 | レイン・レインボウ- 加納朋子 | 2004/07/05 16:43 |
---|---|---|---|
「サマー・オレンジ・ピール」では、主婦をしていることの引け目、あるいは現状に満足していないわけではないのだけれど専業主婦をしていることへの後悔のような者が過去への疑惑とつながったり。
他の短編にも、例えば微妙な恋心のようなものであったり、ひぃめられた憎しみのようなものであったり…。 くっきりとしたものではない、大人になれば体験する諸々のものと心の動きとが上手く描かれているように感じた。 ただ、連作としての謎解きのぶぶんは私には余り面白くなかった。 でも、ここの短編が面白かったので楽しめた。 お勧めは、社員食堂で働く新米管理栄養士の女性が主人公の「雨上がりの藍の色」…その主人公の性格が素敵。 |
No.1 | 6点 | コッペリア- 加納朋子 | 2004/07/05 16:42 |
---|---|---|---|
淡々とした口調。女性の父親が出て行ったこと、あるいは男性が幼児期に虐待を受けよくクローゼットに閉じ込められていたこと。それらの事柄があくまで淡々と何処までも淡々と語られている様に感じた。その淡々さに引き込まれ、引きずり込まれるような錯覚を覚える。
その淡々さは物語が進み、女性の前に悪意?らしきものが現れても、男性が狂的に人形にのめりこんでいっても、あくまで淡々としている。怖い。 トリックそのものは「だからどうしたの?」とも思う。作者なのだからそんな手段をつかえば、読者を騙せても当然ではないか? とそんな風に思う。騙されたという快楽はなかった。(騙されたという感動を味わえる作品もあるとは思うけども。) しかし、トリックそのものはどうでもいい。全体に流れる不思議な感じ。痛さ、重さ。そしてラストの救い。 |