皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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たかだいさん |
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平均点: 5.11点 | 書評数: 159件 |
No.4 | 6点 | 隣はシリアルキラー- 中山七里 | 2025/02/25 12:11 |
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些細な事でも一度気にしてしまうと非常に気になって仕方ない、そんな心理状態が疑心を掻き立てる話の流れが面白いと感じた作品です
また、猟奇殺人を繰り返すサイコパスを扱ったサスペンス作品は数多ありますが、そこに、いわゆるどんでん返しとは若干趣きが異なる真実を設ける事で独自の立ち位置を確立している作品でもあるように思います 読む前に半ば想定していた「騙された」というような快感はないのに、前述した身近な心理状態で共感し易い事も手伝って(いい意味で)不思議と満足度はありました |
No.3 | 6点 | 鑑定人 氏家京太郎- 中山七里 | 2025/02/24 16:44 |
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元科捜研研究員という経歴を有する鑑定人・氏家京太郎と仲間達が事件の物証から真実を暴き出すサスペンス作品
残忍な手口で女性を手に掛け逮捕されたシリアルキラーが、2人の殺害はすんなり認めながら3人目については自分ではないと否認。誰もが極刑を免れる為の悪足掻きと思う中、先入観のない鑑定を心掛ける氏家達にも危険が迫り…と言った内容で、わりとスラスラ読めて面白かったです また、裁判の進行だとか鑑定手順だとか、普通あまり知る機会がないような舞台裏というか裏事情が丁寧に書かれているので、そう言った点でも興味深かった作品になります 各々のキャラクターが重きを置く理と情、拘りや柵、あとは因縁といったモノでの対立関係も強調されて描かれていた印象で、最新技術を用いた科学捜査(DNA鑑定など)で判明する事実に基づき事件の真実が解明されていくという意味では警察小説にも近しい作風かと思います |
No.2 | 3点 | 連続殺人鬼 カエル男- 中山七里 | 2025/02/06 10:07 |
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中山七里はわりと好きな作家だし、本作に関しても「このミステリーがすごい!大賞」の最終候補の一つに選出された程で、氏の代表作の一つなのは間違いない
…が、面白かったか?と問われると、私は首を傾げる 幼子がカエルを苛めるように幼稚で残虐な犯行を繰り返す殺人鬼「カエル男」の正体に迫るサイコスリラー的な話で、いわゆる『序破急』といった感じのスピード感がある語り口が魅力だとは感じた しかし、良かれ悪かれ勢い任せな印象で、特に住民達が暴徒化して警察署を襲うシーンなんかは演出過剰な気がして、個人的には冷めてしまった また、この手の犯人(サイコパス)としてキャラ付けが微妙というか作り物めいて感じられたのも楽しみ切れなかった一因かもしれません(似た感じ方をしたサイコパス犯人としては「レモンと殺人鬼」の「ウシワカ」とかもそうでしたが…) 私としては中山七里の作品としては「護られなかった者たちへ」や「隣はシリアルキラー」のほうが断然オススメ出来ますね |
No.1 | 8点 | 護られなかった者たちへ- 中山七里 | 2024/12/28 06:20 |
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本来なら最後のセーフティとして機能する筈の社会保障制度、そこから零れ落ちる者もいるという厳しくも残酷な現実を背景に、被害者を拘束して餓死させるという時間掛けた(ある意味で)最も残忍な手口で殺人を行うに至った経緯が語られる社会派ミステリーの傑作
犯人の正体や事件の真相であったり事件自体の謎も勿論面白いのだが、なにかと理由を付けて生活保護を受けさせて貰えない者が居る一方、規則を破って生活保護を不正受給する輩も居る、そんな制度の闇が克明に描かれ、思わず考えさせられる作品です |