皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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ʖˋ ၊၂ ਡさん |
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平均点: 5.92点 | 書評数: 102件 |
No.2 | 6点 | 騙る- 黒川博行 | 2022/08/09 15:01 |
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登場人物の軽快な語りで成り立つ物語。関西の骨董業界で繰り広げられる、油断ならない駆け引きを描いた6編を収録。
物語の中心にあるのは、骨董の真贋とそれをめぐって動く金。他人を出し抜いて儲けたいという精神と、美術品の専門家としての矜持が、時には同じ人物に同居している。一筋縄ではいかない人々が、騙し騙される攻防を繰り広げる。 駆け引きを描き出す、軽妙な会話と語り口が楽しさを醸し出す。骨董にかかわる人々のしたたかさが小気味よい。 |
No.1 | 6点 | 果鋭- 黒川博行 | 2022/07/19 15:31 |
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堀内・伊達コンビのシリーズ第三作目。
今回、二人が関わるのはパチンコ業界。著者にはパチンコの釘師が主人公の「封印」という作品もあるが、現在のパチンコ業界には職人的な釘師に居場所などもはや存在しない。本書で描かれる業界の裏側、それは警察と暴力団が利権を貪る魑魅魍魎の巣窟だ。 堀内と伊達のやり方は相変わらず無茶の連続で、関係者の拉致、暴力団相手の喧嘩沙汰などは朝飯前だが、元刑事らしく正攻法の聞き込みも堂に入ったものである。とはいえ、警察の威光を背負っていた時と大きく異なるのは、しくじったら命の保証はないということ。 毒を以て毒を制すというが、このシリーズでは主人公たちもそれ以外の登場人物もまさに猛毒、ほぼ悪党しか出てこない。漫才さながらの軽快な掛け合いによってそんな猛毒コンビを魅力的に見せる著者の手腕が冴える一作。 |