皆さんから寄せられた5万件以上の書評をランキング形式で表示しています。ネタバレは禁止
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ROM大臣さん |
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平均点: 6.07点 | 書評数: 149件 |
No.2 | 7点 | 長い日曜日- セバスチアン・ジャプリゾ | 2021/10/05 14:15 |
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悲劇的な物語を描きながらも、かつてのような息の詰まるような綿密さはなく、どちらかといえば牧歌的な雰囲気の中、物語は淡々と進んでいく。とはいっても、五人の男をめぐった書簡や独白を通して、数奇な運命を辿ることになった彼らの人生が巧みに浮き彫りにされているため、十分に読み応えがある。他にも、映画と関わりの深いジャプリゾらしく、視覚に訴えるような場面が少なくなく、それが作品に厚みを与えている。作家としての余裕や円熟味を感じさせ、ファンの期待に応えてくれる佳作といえるだろう。 |
No.1 | 5点 | 寝台車の殺人者- セバスチアン・ジャプリゾ | 2021/08/23 16:41 |
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寝台列車で女性の絞殺体が発見されるたのを皮切りに、同じコンパートメントに居合わせた乗客たちが一人また一人殺されていくという作品だが、乗客たちをつなぐ「環」の解明がユニークである。被害者だけでなく捜査側の刑事たちも含めて大人たちの醜悪さに比べ、乗客の一人である若い娘バンビと六歳年下の高校生のカップルはひたすら健気で、初々しささえ感じられ。どこか青春小説の書き手である名残がうかがえる。
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